ダイエット 美容

セルライトとは何か?セルライトの原因と解消法について解説

ダイエット実践者の中には「セルライト」に悩む人が少なくありません。セルライトとは、二の腕や殿部、太ももなどにできやすい、脂肪の肥大化によって生じたデコボコした現象です。つまり、セルライトとは脂肪細胞の大きさが変化した結果として生じているものになります。
セルライトは、特にダイエットによって痩せた人に生じやすいものです。ダイエットに成功して体重が減っても、セルライトが残ってしまうと美容面に悪影響を及ぼします。
そこで今回は、「セルライトとは何か?セルライトの原因と解消法」について解説します。

セルライトとは

セルライトとは、皮膚の下で脂肪が肥大化しているために起こっている現象です。皮膚がオレンジの皮のようになっているため「オレンジピールスキン」とも呼ばれます。
皮膚(表皮)の下には「皮下組織」と呼ばれる部分があります。この皮下組織部に、脂肪細胞が存在するのです。そして、脂肪細胞が肥大化した結果、表面にある皮膚が押し出されて、皮膚の表面にセルライトが発生します。簡単な図にすると、以下のようなイメージです。

このように、皮下組織の一部である脂肪が肥大化することで皮膚がボコボコするのがセルライトになります。

セルライトができやすい部位

セルライトには、体の中でもできやすい部位が存在します。既に述べたように、セルライトは脂肪が肥大化することで起こる現象です。そのため、脂肪がつきやすい部位にできやすい傾向があります。
特に女性は、お腹周りやお尻周りは、安全に出産するために脂肪が付きやすい部位です。また、二の腕や太もも、あご周囲などは、筋肉を使いにくいためセルライトができやすい場所だといえます。以下に、セルライトができやすい部位について記します。
・後頭部
・あご
・二の腕
・ウエストライン
・下腹部
・お尻(殿部)
・太もも
・ひざ
・ふくらはぎ
・足首

セルライトができる前兆

ダイエット中やダイエット後に悩まされやすいセルライトですが、急に出現することはほとんどありません。多くの人は「いつの間にかセルライトができていた」というように、セルライトが明らかになってから気付きます。
しかし実際には、セルライトはいくつかの段階を踏んで発生するため前兆があるのが実際です。
例えば、脂肪細胞が肥大する原因の一つに、血流の悪さがあります。そのため、セルライトができる前の肌は冷たく、くすんでいるのです。
このようにセルライトには、表面化する前に前兆があります。その前兆を早期発見して対処することで、セルライトの発生を予防することができるのです。以下に、セルライトの前兆についてまとめます。
・皮膚が突っ張っていてつまめない(テカテカしている)
・皮膚にハリ感がない
・肌がデコボコしている
・肌が冷たい
・皮膚がくすんで色が悪い
・冷えると肌の色が変化する(まだらになる)
以上のような現象が認められる場合には、セルライトの前兆である可能性が高いため注意が必要です。

セルライトができる原因

セルライトは、皮下に存在する脂肪が肥大化した結果として皮膚が盛り上がってできたものです。それでは、なぜ皮下の脂肪細胞は肥大化するのでしょうか? つまり、なぜセルライトが発生するのでしょうか?
ここからは、セルライトができる原因について記します。

皮下組織の硬化

セルライトの原因である脂肪が存在する皮下組織には、脂肪以外にも血管やリンパ、筋膜(筋肉や血管などを覆っている膜)などが存在します。こうした皮下組織が硬くなると、そこに位置する脂肪の代謝が悪くなり、脂肪細胞は肥大化しやすくなるのです。
血流が悪くなると代謝が低下してしまうのはイメージできると思います。代謝とは、脂肪やタンパク質などからエネルギーを作り出す過程です。つまり、代謝が悪くなると、脂肪が燃焼しにくくなるのです。
そして、皮下組織が硬化してしまうと、血管やリンパの動きが制限されてしまうため、代謝が悪くなります。その結果、脂肪が燃焼されずに肥大化してしまうことになるのです。
こうした皮下組織の硬化は、偏った姿勢や動作などで主に生じます。また、太って脂肪が肥大化することも、皮下組織を硬くすることにつながります。つまり、皮下組織が硬くなると代謝を下げることにもなりますし、代謝が悪くなることが皮下組織を硬化させることにもなるのです。
このように、姿勢や動作、肥満の影響で皮下組織が硬くなると、脂肪細胞が肥大化してセルライトができやすくなります。

骨盤の歪み

骨盤の歪みは、セルライトを作る原因になります。骨盤のズレは、下半身の筋肉にかかる負担を大きくしたり、内臓の働きを悪くしたりするためです。
例えば、骨盤に歪みが生じていると、体重を乗せる足が左右どちらかに偏ります。そうなると、片方の足の筋肉に過剰な負担がかかり、結果的に皮下組織(筋膜)が硬くなってしまうのです。
また、骨盤のズレによって骨盤内に位置する腸の働きが悪くなると、腸内環境が悪化します。そして、腸内環境が良くないと、食べ物の消化・吸収、すなわち代謝が悪影響を受けてしまうため太りやすくなり、脂肪細胞が肥大化するのです。
このように、骨盤の歪みは皮下組織を硬くしたり、肥満を促したりするため、セルライトができる原因になります。
<関連記事>
骨盤矯正ダイエットについて解説

生活習慣の乱れ

セルライトは、脂肪細胞の肥大化によって起こります。つまり、肥満を招く原因はセルライトを作り出すきっかけになるのです。そして、生活習慣の乱れは体重増加を引き起こす大きな要因となります。
例えば、食事で甘いものやパンなどの糖質を多く含む食品を過剰に摂取すると、血糖値(血液中の糖分量)は高くなります。その結果、脂肪蓄積を促す「インスリン」というホルモンが多く分泌されて太ることにつながるのです。
また、睡眠不足は食欲を抑えて脂肪燃焼を促進させる作用をもつ「レプチン」というホルモンの分泌を抑制します。つまり、睡眠不足は食欲の増進と脂肪燃焼抑制を引き起こし、肥満を招くのです。
その他にも、以下のような生活習慣がある場合には、脂肪細胞が肥大化してセルライトができやすいため注意が必要です。
・デスクワークで座っている時間が長い
・サイズが小さな下着やハイヒールをよく使用する
・習慣的にタバコやお酒を摂取する
・足を組んだり、歪んだ姿勢で作業をしたりする
・ピルを飲んでいる
・猫背(姿勢が悪い)
・睡眠時間が短い(6時間未満)
このように、生活習慣の乱れは肥満を促すことになるため、結果的にセルライトができる原因となります。
<関連記事>
糖質制限がダイエットの成功に欠かせない理由
睡眠不足で太りやすくなる原因と解消法

セルライトの解消法

ここまで述べたように、セルライトは、主に「皮下組織の硬化」「骨盤の歪み」「生活習慣の崩れ」の3つが原因で発生します。そのため、これら3つの問題を解消することができれば、セルライトを消すことができるのです。
ただ、セルライトを解消するためには「生活習慣の見直し → 骨盤の矯正 → マッサージ」の順番で行うようにしましょう。

生活習慣の見直し

セルライトを改善するために最も優先すべきことは、生活習慣を見直すことになります。肥満の原因は、基本的に生活習慣の崩れにあるためです。
特に、食生活は脂肪細胞を肥大化させる一番の原因といえます。肥満となるのは、ほとんどが食事に問題があるためです。そして、食事に続いて睡眠習慣と運動習慣が肥満に影響を与えます。
そのため、いくら骨盤を矯正したり、マッサージで皮下組織を柔らかくしたりしても、生活習慣が崩れているとセルライトが再発する可能性が高いです
こうしたことから、セルライトを改善するためにはまずは生活習慣を見直すことが大切になります。
具体的な生活習慣の改善方法については、「食事制限・生活習慣の見直しでセルライトを消す方法」に詳しく書いています。

骨盤矯正

生活習慣を整えた後は、皮下組織の硬化を解消する前に、骨盤の歪みを整えます。骨盤がズレていると、いくらマッサージで皮下組織を柔らかくしても再び皮下組織が硬くなるためです。
既に述べたように、骨盤の歪みは荷重バランスの崩れを招き、下半身の筋肉に過剰な負担をかけます。そのため、骨盤が歪んだ状態で生活をしていると、すぐに皮下組織は硬くなってしまうのです。
こうしたことからも、生活習慣の見直しを行った後には、骨盤のズレを確認して修正することが大切になります。
<関連記事>
骨盤矯正でセルライトを解消する具体的な方法

皮下組織のマッサージ

そして、生活習慣の見直しと骨盤のズレを修正してもセルライトが解消しない場合には、皮下組織に対してマッサージを行います。セルライトがある人の中には、マッサージによって硬くなった皮下組織を解さないと硬化が解消しないケースがあるためです。
生活習慣や骨盤矯正だけでセルライトが解消できる人は、少ないのが現状です。既に述べたように、多くの人はセルライトが進行してから気付きます。そのため、皮下組織の硬化が進んでしまっており、生活習慣の見直しや骨盤矯正だけでは皮下組織が柔らかくならないのです。
そうした際には、直接皮下組織に対するマッサージがセルライトを解消することにつながります。

リンパマッサージ

さらに、皮下組織に加えて「リンパマッサージ」もセルライトの解消には有効です。
リンパとは、細胞で生じた老廃物を体外へ排泄する役割を持つものになります。つまり、脂肪の燃焼(代謝)に大きく関わっている組織です。リンパマッサージとは、こうしたリンパを刺激することで代謝を良くするテクニックです。
リンパは皮下組織に存在しているため、皮下組織に対するマッサージでもリンパの流れは良くなります。ただ、リンパの流れを意識してマッサージを行うと、より効果的にリンパの状態を良くすることができるのです。
このように、リンパマッサージを行うことも、セルライトを解消するために有効な方法だといえます。
<関連記事>
セルライトを解消するリンパマッサージの実践方法

皮下組織に対するマッサージの方法

ここまで述べたように、セルライトを消す方法の一つに皮下組織に対するマッサージが挙げられます。そこで以下に、皮下組織のマッサージ方法について記します。

皮下組織をマッサージするポイント

皮下組織をマッサージする際には、いくつかのポイントがあります。適切なマッサージを実施することができれば、皮下組織を効率的に柔らかくすることができるため、セルライトを解消することになるのです。
そして、皮下組織をマッサージするポイントは、主に「力を入れすぎない」「オイルを使用しない」「皮膚の方向を意識する」という3つになります。
 ・力を入れすぎない
皮下組織は、皮膚と筋肉の間に存在します。また、皮下組織は非常にデリケートであるため、強く押しすぎると血流の流れを阻害したり脂肪の燃焼を妨げたりすることにつながりかねないのです。
そして、表面の皮膚と皮下組織はつながっています。そのため、皮下組織をマッサージするときには、力をいれずに皮膚を動かすような意識で行うことが大切です。皮膚に指がひっかかるような感覚で行えば、上手く皮下組織を柔らかくすることができます。
 ・オイルを使用しない
オイルを使用すると、皮膚に指がひっかからないため、皮下組織に対して刺激が加わりにくくなります。そのため、皮下組織をマッサージする際には、オイルを使わないのが基本です。
 ・皮膚の方向を意識する
人間の皮膚には「ランガー線」と呼ばれる、皮膚が伸びやすい方向があります。手術のときなどには、ランガー線に沿って切開すると傷が治りやすくなります。そして、ランガーに沿ってマッサージを実施すれば、皮下組織が伸びやすくなるため、柔らかくなるのです。
ランガー線は、以下のような方向になっています。

全身


引用:臨床のための解剖学:佐藤達夫 メディカル・サイエンス・インターナショナル

顔アップ


引用:臨床のための解剖学:佐藤達夫 メディカル・サイエンス・インターナショナル

マッサージの基本テクニック

皮下組織に対してマッサージには「ランガー線に沿って皮下組織を柔らかくするマッサージ」と、その後に「肌のハリを回復させるために行うマッサージ」の2つが存在します。この2つのマッサージを実践することで、セルライトが解消しやすくなるのです。
 ・ランガー線に沿ったマッサージ
目的とする部位のランガー線に沿って垂直に手を置きます。例えば、お腹であれば、以下のような感じです。

引用:臨床のための解剖学:佐藤達夫 メディカル・サイエンス・インターナショナル
そして、ゆっくりと皮膚の表面をズラすようにランガー線に沿って動かします。このとき、皮膚にシワが寄るのを確認しながら、皮膚が伸びて抵抗を感じる程度までシワが寄った状態で動かすことがポイントです。
1部位で10回実施し、セルライトがある場所全てをマッサージするようにしましょう。
 ・肌のハリを回復させる
ランガー線に沿ったマッサージを行った後は、肌のハリを回復させるマッサージを実施します。このときは、圧の加え方がポイントになります。具体的には、以下のような3ステップで実施します。
1.ランガー線に対して垂直方向に圧を加える
2.ランガー線に平行方向に圧を加える
3.手の位置を元に戻して圧を抜く

このような3ステップをランガー線に沿って数回実施することで、肌のハリが回復することになります。
以上に記した2つのマッサージを、セルライトが気になる部位に実施すれば、セルライトの原因である皮下組織を硬化を解消することができるのです。
今回述べたように、セルライトとは脂肪が肥大化した結果が皮膚の表面に現れた現象です。そして、セルライトの主な原因は「生活習慣の崩れ」「骨盤の歪み」「皮下組織の硬化」の3つになります。
そのため、セルライトを消すためこれら3つの問題を解消することが重要だといえます。