ダイエット 食事制限

ダイエット中の間食におススメであるナッツの栄養素を徹底比較

ダイエット中に間食する食べ物として、「ナッツ」はよく勧められる食品です。ナッツは糖質量が少ない上に、不足しがちな栄養素が豊富に含まれているためです。
また、ナッツと似た食品に「ピーナッツ」があります。私がナッツをおススメする中で「ピーナッツでも大丈夫ですか?」という質問をよく受けます。これは、多くの人が「ナッツとピーナッツは同じような食べ物である」と考えているためです。しかし実際には、ナッツとピーナッツは全く異なる食品です。
そして、ダイエット中に摂るべきであるのはピーナッツではなくナッツになります。また一言でナッツといっても、それぞれの種類によって含まれている栄養素は異なります。
そのため、ナッツとピーナッツの違いを把握した上で、それぞれのナッツに含まれている栄養素の違いを理解しておくことが大切です。
そこで今回は、「ナッツとピーナッツの違い」「それぞれのナッツに含まれている栄養素の比較」について解説します。

ナッツとは違う!マメ科植物の栄養素

ナッツと勘違いされやすい食べ物として「マメ科植物」があります。たとえば、大豆やピーナッツなどです。
ただ、マメ科植物はナッツとは違います。そのことを理解した上で、マメ科植物に含まれる栄養素の特徴を理解しておきましょう。
・三大栄養素


  タンパク質
(g)
脂質
(飽和脂肪酸/一価不飽和脂肪酸
/n3系/n6系)
(g)
炭水化物
(食物繊維/糖質)(g)
大豆(乾) 35.3 19.0
(2.6/3.6
/1.8/8.6)
28.2
(4.5/23.7)
あずき(乾) 20.3 2.2
(0.3/0.07
/0.17/0.38)
58.7
(4.3/54.4)
落花生(ピーナッツ) 25.4 47.4
(8.7/23.0
/0/15.2)
18.8
(2.9/15.9)
インゲンマメ 19.9 2.2
(0.3/0.2
/0.5/0.3)
57.8
(3.7/54.1)
そらまめ 26.0 2.0
(0.2/0.3
/0.3/0.5)
55.9
(5.8/50.1)


*食品成分表をもとに作成
*食品100gあたりの含有量
*n3系、n6系=オメガ3系脂肪酸、オメガ6系脂肪酸
・ビタミン、ミネラル


  カルシウム
(mg)
マグネシウム
(mg)

(mg)
亜鉛
(μg)
ビタミンE
(mg)
大豆(乾) 240 220 9.4 3200 1.8
あずき(乾) 75 120 5.4 2300 0.5
落花生(ピーナッツ) 50 200 1.6 3000 12.2
インゲンマメ 130 150 6.0 2500 0.2
そらまめ 100 120 5.7 4600 1.0


*食品成分表をもとに作成
*食品100gあたりの含有量

ダイエット中の間食におすすめのナッツ類の栄養素

ナッツはダイエット中の間食としておすすめの食品です。ナッツは血糖値を上げにくいだけでなく、ビタミンやミネラルなどの栄養素が豊富であるためです。
・三大栄養素


  タンパク質
(g)
脂質
(飽和脂肪酸/一価不飽和脂肪酸/
n3系/n6系*)
(g)
炭水化物(食物繊維/糖質)
(g)
アーモンド(乾) 18.6 54.2
(4.1/35.2
/0.01/12.7)
19.5
(2.6/16.9)
カシューナッツ(いり・味付け) 19.6 47.6
(10.0/27.7
/0.08/8.0)
26.4
(1.0/25.4)
くるみ(いり) 14.6 68.8
(6.9/10.3
/9.0/41.3)
11.7
(1.4/10.3)
ピスタチオ(いり、味付け) 17.5 56.1
(6.2/30.9
/0.2/16.2)
20.4
(1.7/18.7)
ブラジルナッツ(いり) 17.4 69.1
(15.8/21.0
/0.06/29.0)
9.6
(3.9/5.7)


*食品成分表をもとに作成
*食品100gあたりの含有量
*n3系、n6系=オメガ3系脂肪酸、オメガ6系脂肪酸
・ビタミン、ミネラル


  カルシウム
(mg)
マグネシウム
(mg)

(mg)
亜鉛
(μg)
ビタミンE
(mg)
アーモンド(乾) 230 290 4.7 4800 31.1
カシューナッツ(いり・味付け) 38 240 4.9 5400 0.9
くるみ(いり) 85 540 2.6 2600 2.4
ピスタチオ(いり、味付け) 130 130 6.9 2800 2.7
ブラジルナッツ(いり) 170 370 3.6 4400 4.4


*食品成分表をもとに作成
*食品100gあたりの含有量

ナッツと落花生(ピーナッツ)の違い

ナッツ(種実類)は、ダイエット中に間食する食べ物としておススメの食品です。ナッツは糖質が少なく、「一価不飽和脂肪酸」などの体に良い脂質や「ビタミン」「ミネラル」が豊富に含まれているためです。
例えば、アーモンドには細胞の老化である「酸化」を抑える作用をもつ「ビタミンE」や、「LDLコレステロール(悪玉コレステロール)」を減らす働きをもつ「一価不飽和脂肪酸」がたくさん入っています。また、くるみには「オメガ3系脂肪酸」と呼ばれる、ほとんどの日本人に不足しがちな脂肪が豊富に含まれています。
このように、ナッツは栄養価が高い食品です。こうしたことから、私はダイエット中の間食として、ナッツを勧めます。
ただ、ナッツに関して多くの人が誤解していることがあります。それは「落花生(ピーナッツ)をナッツだと思っている」ということです。ピーナッツというと「ナッツ」という言葉が入っているため、アーモンドやくるみ、カシューナッツと同じナッツ類であると思われがちです。
しかし実際には、ナッツと落花生(ピーナッツ)には明確な違いがあります

ピーナッツはマメ科の植物

ナッツは、「種実類」に分類される食品です。種実類とは、固い殻や皮に包まれた食用の果実や種子の総称になります。そして、種実類の中でも「木の実」をナッツといいます。
例えば、アーモンドやカシューナッツ、くるみ、ピスタチオ、ブラジルナッツなどはナッツです。
その一方で、ピーナッツは「マメ科の植物」になります。ピーナッツの「ピー(Pee)」は豆を表す単語です。つまり、ピーナッツはナッツではなく豆だということです。
ナッツとマメ科の植物の違いは、ナッツが木の実として地上で果実ができるのに対して、マメ科の植物は地面の中で実ができます。
このように、ピーナッツはナッツとは明確に違う食べ物なのです。

ナッツとマメ科植物に含まれている栄養素の違い

ここまで述べたように、ピーナッツはナッツではなくマメ科の植物になります。ただ、ピーナッツに含まれている栄養素は、大豆などのマメ科の植物よりもアーモンドやカシューナッツといったナッツに類似しています。
例えば、基本的にマメ科の植物には糖質が豊富に含まれています。それに対して、ピーナッツの糖質量は少なく、ナッツと同程度の量しか入っていません。
マメ科の植物に含まれる糖質量


  大豆 あずき 落花生(ピーナッツ) インゲンマメ そらまめ
糖質量(g) 28.2 58.7 18.8 57.8 55.9


*食品成分表をもとに作成
*食品100gあたりの含有量
ナッツに含まれる糖質量


  アーモンド カシューナッツ くるみ ピスタチオ ブラジルナッツ
糖質量(g) 19.5 26.4 11.7 20.4 9.6


*食品成分表をもとに作成
*食品100gあたりの含有量
またその他にも、ピーナッツは他のマメ科の植物とは違い、脂肪が豊富に含まれています。
マメ科植物に含まれる脂質量


  大豆 あずき 落花生(ピーナッツ) インゲンマメ そらまめ
脂質量(g) 19.0 2.2 47.4 2.2 2.0


*食品成分表をもとに作成
*食品100gあたりの含有量
ナッツに含まれる脂質量


  アーモンド カシューナッツ くるみ ピスタチオ ブラジルナッツ
脂質量(g) 54.2 47.6 68.8 56.1 69.1


*食品成分表をもとに作成
*食品100gあたりの含有量
このように、含まれている栄養素を比較してみると、ピーナッツはマメ科の植物というよりは、ナッツに近いといえます。

ダイエット中の間食にはピーナッツではなくナッツがおススメ

ここまで述べたように、ピーナッツはマメ科の植物ですが、含まれている栄養素はナッツに類似しています。ただ、ダイエット中の間食としては、ピーナッツではなくナッツの方がおススメです。
それは、ナッツの方がアレルギー反応を引き起こす可能性が低い上に、ビタミンやミネラルが豊富に含まれているためです。
もちろん、アーモンドやカシューナッツなどのナッツにもアレルギーはあります。ただ、ピーナッツと比較するとアレルギーを発症する可能性は低いです。
ピーナッツは一価不飽和脂肪酸やビタミンE、マグネシウム、亜鉛などが豊富に含まれています。しかし、アーモンドにはピーナッツの3倍以上のビタミンE、1.5倍近いマグネシウム、亜鉛が入っています。


  一価不飽和脂肪酸(g) n3系:n6系
(g)
マグネシウム
(mg)
亜鉛
(μg)
ビタミンE
(mg)
ピーナッツ 23.0 0:15.2 200 3000 12.2
アーモンド 35.2 0.01:12.7 290 4800 31.1
カシューナッツ 27.7 0.08:8.0 240 5400 0.9
くるみ 10.3 9.0:41.3 540 2600 2.4
ピスタチオ 30.9 0.2:16.2 130 2800 2.7
ブラジルナッツ 21.0 0.06:29.0 370 4400 4.4


*n3系:n6系 = オメガ3系脂肪酸:オメガ6系脂肪酸
以上の比較から、ピーナツはアレルギーの原因となりやすい上にナッツと比較すると栄養が劣っていることがわかります。
こうしたことからも、ダイエット中にはピーナッツではなく、できるだけナッツを摂取するようにしましょう。

ダイエット中の間食におすすめであるナッツの栄養素比較

ここまで述べたように、ダイエット中の間食にはナッツがおススメです。ただ、ナッツにも注意すべきことはありますし、一言でナッツといっても、種類によって含まれている栄養素は異なります。
そこでここからは、ナッツに含まれている栄養素を比較します。

間食としておすすめといってもナッツは食べ過ぎには注意

既に述べたように、ナッツには一価不飽和脂肪酸やマグネシウム、亜鉛、ビタミンEといったダイエットや健康に欠かせない栄養素が豊富に含まれています。ただ、ナッツには糖質も含まれているため、食べ過ぎには注意しなければいけません
糖質は、肥満の原因となる「インスリン」と呼ばれるホルモンの分泌を促します。そのため、ナッツによって糖質を過剰に摂取すると太るのです。
確かに、ナッツに含まれている糖質量は、そこまで多いわけではありませんが、食べ過ぎは避けるべきです。
ナッツに含まれる糖質量


  アーモンド カシューナッツ くるみ ピスタチオ ブラジルナッツ
糖質量(g) 19.5 26.4 11.7 20.4 9.6


*食品成分表をもとに作成
*食品100gあたりの含有量
このように、ナッツには糖質も含まれているため、食べ過ぎには注意しましょう。

ナッツの中でも脂肪酸の割合はくるみが優れている

脂肪の中でも、オメガ3系脂肪酸とオメガ6系脂肪酸の割合は重要になります。これら2つの脂肪酸のバランスが崩れると、体内で炎症が起こりやすくなるためです。
炎症は肥満やさまざまな病気を招く原因になります。そのため、オメガ3系脂肪酸とオメガ6系脂肪酸のバランスが整っていることは、ダイエットや健康のためには欠かせないのです。
しかし実際には、多くの人はオメガ3系脂肪酸とオメガ6系脂肪酸のバランスが崩れています。日常的に摂取する油の中には、オメガ6系脂肪酸が豊富に入っている一方で、オメガ3系脂肪酸はほとんど含まれていないためです。
つまり、多くの人はオメガ6系脂肪酸を過剰に摂りすぎているといえます。
例えば、料理に使用されるサラダ油には、オメガ6系脂肪酸がたくさん含まれています。それに対してオメガ3系脂肪酸は、亜麻油やエゴマ油などに豊富に入っています。ほとんどの料理にはサラダ油が使われているため、これだけでも、オメガ6系脂肪酸を過剰に摂取していることは理解できるはずです。
具体的には、オメガ3系脂肪酸とオメガ6系脂肪酸の理想的な割合は「オメガ3系脂肪酸 : オメガ6系脂肪酸 = 1 : 4」だといわれています。それに対して、現実は「オメガ3系脂肪酸 : オメガ6系脂肪酸 = 1 : 20」といったように、脂肪酸のバランスが大きく崩れています
こうしたことから、普段からできるだけオメガ3系脂肪酸が豊富に含まれている食品を摂取することが大切だといえます。
そしてナッツの中でも、オメガ3系脂肪酸とオメガ6系脂肪酸のバランスが最も優れているのはくるみです。
ナッツに含まれる脂肪酸の割合


  アーモンド カシューナッツ くるみ ピスタチオ ブラジルナッツ
オメガ3系脂肪酸:オメガ6系脂肪酸(g) 0.01:12.7
(≠1:120)
0.08:8.0
(≠1:100)
9.0:41.3
(≠1:4.5)
0.2:16.2
(≠1:80)
0.06:29.0
(≠1:500)


このように、他のナッツと比較して、くるみにはオメガ3系脂肪酸が豊富に含まれているのです。
ちなみに、ピーナッツにはオメガ3系脂肪酸はほとんど入っていません。

ナッツの中でもビタミンEはアーモンドに豊富に含まれている

既に述べたように、ナッツの中でもビタミンEが最も豊富に含まれているのはアーモンドです。
以下のように、他のナッツと比較するとビタミンEの含有量はアーモンドがダントツに多いことがわかります。
ナッツに含まれるビタミンE


  アーモンド カシューナッツ くるみ ピスタチオ ブラジルナッツ
ビタミンE(g) 31.1 0.9 2.4 2.7 4.4


このように、ビタミンEはナッツの中でもアーモンドにたくさん入っています。

ナッツにおけるカルシウムとマグネシウムの割合

カルシウムとマグネシウムは、相互に作用するミネラルです。そのため、カルシウムとマグネシウムはバランスが重要であり、どちらかが多すぎても少なすぎても問題になります。
例えば、体内でカルシウムが多く、マグネシウムが少ないと、心臓発作や筋肉の痙攣などを起こしやすくなります。
食事から摂取するカルシウムとマグネシウムの理想的な割合は「カルシウム:マグネシウム=2:1」とされています。ただ、食事で摂ったカルシウムを体内に吸収するときにマグネシウムが必要である(吸収時にマグネシウムが消費される)ため、実際には「カルシウム:マグネシウム=1.5~1:1」と、基準よりもマグネシウムを少なめに考えておいた方が良いでしょう。
そこで以下に、ナッツにおけるカルシウムとマグネシウムのバランスを比較します。
ナッツに含まれるカルシウムとマグネシウム


  アーモンド カシューナッツ くるみ ピスタチオ ブラジルナッツ
カルシウム:マグネシウム(g) 230:290 38:240 85:540 130:130 170:370


このように、基本的にナッツにおけるカルシウムとマグネシウムのバランスは、理想的もしくはカルシウム<マグネシウムとなっています。
多くの人は、カルシウムの過剰摂取・マグネシウムの摂取不足が問題となります。そのため、ナッツはカルシウムとマグネシウムのバランスを整えるためには良い食品だといえます。
もちろん、カルシウムとマグネシウムのバランスに関しては、カルシウムが不足して不調が起こっている人もいるため一概にはいえません
ただ、基本的にはマグネシウムの摂取量が不足している人が多いのが現状です。
今回述べたように、ナッツとピーナッツには明確な違いがあります。そして、アレルギーや栄養面を考慮すると、ダイエット中に摂取すべきはナッツです。しかし、一言でナッツといっても、含まれている栄養素はそれぞれで異なります。
そのため、それぞれの特徴を把握した上で「どのナッツが自分には合っているのか?」ということを考えることが大切です。