ダイエット 食事制限

ダイエットに必要な食事に対する考え方:肥満と慢性炎症

健康的にダイエットを行う上で必要なことは、カロリー制限ではなくホルモンコントロールです。過剰なカロリー制限は、体を動かすエネルギー不足や栄養失調を引き起こすため、さまざまな体の不調を招きます。
また、多くの病気に関係しているものに「慢性炎症」があります。慢性炎症とは、傷を修復するために起こった炎症が、過剰に長引いてしまっている状態です。炎症は体にとって必要な反応ですが、慢性炎症は体にとって害でしかありません。
慢性炎症は、さまざまな病気を引き起こすだけでなく、肥満にも関係しています。
そのため、ダイエットを行う上で、慢性炎症が体に起こる原因を理解しておくことは必須になります。慢性炎症が生じていると、いくらダイエットをしても成功することはありません。
そこで今回は、慢性炎症とダイエットの関係性について解説します。

脂肪の蓄積はホルモンによって調整されている

ダイエットを行う上で、体に脂肪が蓄積するメカニズムを理解していることは必須になります。そして多くの人は、「過剰なカロリーが中性脂肪をコントロールしている」と考えています。
しかし実際には、中性脂肪の蓄積をコントロールしているのは、カロリーではなくホルモンです。つまり、肥満になるのは、過剰にカロリーを摂取したためでなく、脂肪の貯蔵をコントロールするホルモンの働きに異常が生じたためだといえます。
そして、脂肪の蓄積をコントロールしているホルモンはインスリンとレプチンです。
インスリンは、血糖値が上昇したときに膵臓(すいぞう)から分泌されて、血糖値を低下させるホルモンです。ただインスリンは、血糖調整を行うと同時に脂肪細胞への脂肪の蓄積を促す作用があります。
またレプチンは、脂肪細胞に一定以上の中性脂肪が貯蔵された場合に、脂肪細胞から分泌されるホルモンです。そしてレプチンには、満腹感を引き起こすことと、脂肪細胞に溜まった脂肪の燃焼を促進する作用があります。
つまり、「インスリンによる脂肪蓄積 → レプチンによる食欲抑制、脂肪燃焼」というメカニズムが正常に働いていると、肥満になることはありません。
このように、体への脂肪蓄積をコントロールしているのは、主にインスリンとレプチンという2つのホルモンになります。

慢性炎症はホルモンコントロールを崩す

健康的にダイエットを行うためには、インスリンとレプチンを正常に機能させることが重要になります。この2つのホルモンさえ適切に働いていれば、肥満になることはありません。
反対にインスリンとレプチンの機能が低下してしまうと、体にはどんどん脂肪が蓄積されて肥満になります。
そして、インスリンとレプチンによる脂肪蓄積のコントロールを障害する原因となるのが「慢性炎症」です。慢性炎症は、がんや糖尿病、動脈硬化など、さまざまな病気の原因となるものです。そして、それだけではなく、肥満とも関係しています。
慢性炎症とは、通常では一定期間で治まる炎症反応が、過剰に長引いている状態です。炎症反応は体が修復するためには欠かせないものですが、長期化して慢性炎症になると、体にとってさまざまな悪影響を与えることになります。その内の1つが、ホルモンコントロールに与える影響です。
慢性炎症になると、インスリンとレプチンの抵抗性が高くなります。抵抗性が上がるということは、インスリンとレプチンの働きが悪くなることを表します。
その結果、インスリンは「血糖値を下げる」という、体にとって必要不可欠な働きを果たさず、脂肪を蓄積する作用だけが起こります。また、レプチンによる満腹感や脂肪燃焼が起こらないため、過剰な飢餓感や脂肪細胞への過度な脂肪蓄積が生じることになります。
そうなると、どんどん体には脂肪が蓄積されて肥満になります。
このように、慢性炎症は脂肪の蓄積をコントロールしているインスリンとレプチンの働きを妨げることで、肥満を引き起こす原因になります。

慢性炎症を引き起こす原因

慢性炎症は、ホルモンコントロールを乱して肥満を誘発します。そのため、ダイエットを成功させるためには、慢性炎症を予防することが必須だといえます。
そして、慢性炎症を引き起こす主な原因は、「血管の糖化」と「リーキーガット」の2つです。
血管の糖化とは、血液中の糖分量が過剰になることで、血管を構成しているタンパク質に糖質が付着することを指します。この糖化反応によって、体に慢性炎症が引き起こされます。
また、腸のバリア機能が低下するリーキーガットも、慢性炎症を誘発する大きな要因の1つです。
腸には、食べた物が腸内に入った際に、「体にとって害があるものかどうか」ということを判断する機能があります。そして、体にとって有害と判断した場合は、血液中に吸収されずに便として排泄します。このように腸には、全身に回る血液中に有毒なものを入れないようなバリア機能が備わっています。
リーキーガットとは、そのようなバリア機能が破綻した状態をいいます。つまり、リーキーガットの状態では、腸内に入ったものが有害であっても血液中に吸収されて、全身に回ることになります。その結果、慢性炎症が引き起こされます。
そして、このような慢性炎症となる糖化とリーキーガットは、どちらも食生活の乱れが原因で起こります。そのため、肥満が生じるまでには、以下のようなメカニズムが働いています。
「食生活の不摂生 → 糖化、リーキーガット → 慢性炎症 → ホルモンコントロール異常 → 肥満」
つまり、ダイエットを成功するためには、糖化とリーキーガットを予防するような食事を行う必要があるといえます。
今回述べたように、ダイエットを行うためには慢性炎症を防ぐことが大切です。そして慢性炎症は、主に食生活の不摂生で起こる、糖化とリーキーガットが原因で起こります。
多くの人は、ダイエットにおける食事は、カロリーをコントロールする目的で行います。しかしダイエットを行う上で必要なことは、このように慢性炎症を引き起こさないような食生活だということを理解しておくことが大切です。