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体重が落ちないときは断食を検討すべき!断食のダイエット効果

断食」は、よく実践されるダイエット方法の一つです。断食とは、簡単にいうと「一定期間、食事の回数や食事で摂取する固形物を減らす食事法」になります。
例えば、半日断食であれば朝ごはんは食べないようにし、1日断食であれば朝昼夕の3食を抜きます。
こうした断食には、アンチエイジング効果やダイエット効果など、さまざまな健康作用があると考えられています。そして、実際に多くの人が断食を実践して、その健康効果を実感しています。
そこで今回は、「断食によるダイエット効果」について解説します。

断食とは

断食とは、一定期間食べ物を断つことをいいます。ここでいう断食とは、ユダヤ教やイスラム教などで行われる宗教的な断食ではなく、身体の健康増進(ヘルスケア)を目的とした断食です。
断食と同じような言葉に「絶食」があります。これらの違いは、昭和43年に絶食研究会で「宗教上の目的で行う場合を断食、医学的な目的で実施する場合を絶食」と決められていました。
ただここでは、断食という呼び方の方が一般的に馴染みがあるため、医学的な(ヘルスケア)目的ではありますが、断食という言葉を使います。
本来の断食(本断食)では、一定期間水だけを摂取して、定められた期間は水以外の飲食物は一切食べません。そして本断食は、基本的に3日以上断食を継続します。
しかし、本断食は初心者が自宅で実施することは難しいため、ヘルスケア目的で実施する人は少ないです。また、何も知識がない状態で、さらに医者など専門家の協力も得ずに本断食を行うと、非常に危険な状態を招く可能性があります
そうしたこともあり、ヘルスケアを目的とした断食には、本断食ではなく酵素ジュース断食や半日断食、1日断食などの方法が推奨されています。
このように断食にはさまざまな方法がありますが、どれであっても「一定期間食べ物を断つ」ということには変わりありません。ただ本断食と違って、酵素ジュースなどの水以外の飲食物を摂れたり、3日以上ではなく、朝食だけを抜いたりするなど、制限を緩くします。
このように断食とは、どのような方法であっても「とにかく一定期間食べ物を断つ食事法」だと考えて良いです。

断食が体へ与える影響

断食を行うと、体にはさまざまな変化が起こります。もちろん、断食を推奨している人は、断食を行うことで得られるメリットばかりを述べています。しかし当然ながら、断食を実施することで起こりえるデメリットもあります。
そのため、断食を実践する際には、メリットとデメリットの両面を理解しておくことが大切です。そこで以下に、断食によって体に生じる可能性があるメリットとデメリットについて記します。

断食によって得られるメリット

断食を行うことで得られるメリットには、主に「臓器が休まる」「体内酵素の消費が減る」「有害物質の摂取が減る」「体内毒素の排泄(デトックス)」「精神的なゆとりが生まれる」という5つが挙げられます。
 ・臓器が休まる
食べ物を食べるためには、胃腸による消化・吸収活動が欠かせません。そして、消化・吸収は無意識下で起こっているものですが、内臓には負担がかかっています。
例えば、あなたがスクワットなどの筋トレを普段以上に行ったとき、体にはいつもより強い負荷がかかるため、筋肉痛が起こります。このことと同様で、食事を食べ過ぎると、内臓は普段以上に活動しなければいけなくなるため、疲弊します。
短期間であれば筋肉痛が起こっても生活に支障がないように、内臓も一時的に疲れることは問題となりません。
ただ、毎日食べ過ぎたり偏った食事を摂ったりして内臓が疲弊している状態が続くと、日頃から内臓が活動しにくくなります。その結果、消化不良や栄養吸収不良が生じて日常生活に支障をきたすようになるのです。
断食を行うと、食事を断っている間は内臓が働く必要がないため、内臓を休めることができます。そのため、断食を行うことは、内臓の疲労を解消させることになるのです。
こうした、断食によって内臓の機能が十分に回復すると、消化や吸収といった内臓の機能が高まります。そして、食事の消化・吸収が高まると、結果的に代謝が高まるためダイエット効果も生まれることになります。
 ・体内酵素の無駄づかいが減る
体には、体内で起こる反応を円滑化する役割を持つ「酵素」と呼ばれる物質が存在します。
例えば、食事をするときには、食べ物を体内に取り入れるために、食品を体が吸収できる大きさまで分解(消化)しなければいけません。このときに、食べ物の消化をスムーズにするために働くのが酵素です。
また、体が動くためにはエネルギーが必要になります。そのためのエネルギーは、「脂肪酸」や「ブドウ糖」といったエネルギー源を基に作られます。
そして、こうしてエネルギー源からエネルギーを産出するときにも、酵素が作用することで、スムーズにエネルギーが生み出されます。
このように、体の機能が円滑に働くために作用する物質が酵素です。
そして酵素には、主に食事を分解するために使われる「消化酵素」と、エネルギー源からエネルギーを作り出すときに働く「代謝酵素」の2つが存在します。またこれら2つの酵素は、体内に一定量しか存在していません。
つまり、酵素は使いすぎると無くなってしまうということです。
当然、体内の酵素が不足すると、消化がスムーズに行われなかったりエネルギーが十分に作られなかったりするようになります。
そうなると、消化不良やエネルギー不足が生じて、さまざまな不調が出現します。
そして、断食をすれば消化活動が必要なくなるため、消化酵素が消費されなくなります。つまり、断食には消化酵素を節約する役割があるといえます。
このように、断食によって消化酵素の無駄遣いが減ると、体内酵素の消耗が少なくなります。その結果、消化やエネルギー産生など体に必要な活動に酵素が利用できるようになり、健康的な体となるのです。
ちなみに、断食によって消化酵素が節約されると、免疫細胞の活動に利用できる代謝酵素の量が多くなるため、免疫機能を高めることにもつながります。
 ・有害物質が体内に入らなくなる
現代の食事では、体にとって有害となる物質を多く取り入れがちです。
例えば、ほとんどの加工食品には食品添加物が入っています。確かに、一般的に使用されている食品添加物は、厚生労働省によって安全性が認められているものです。
ただ、安全性が認められているといっても、ほとんどの場合は「一定量以下の摂取であれば直ちに体に影響が出ない」ということが動物実験によって示されているのみです。また、これらの実験の多くは、単一の食品添加物を摂取したときの反応しか確認されていません。
しかし、日常的に摂取する食品添加物は、ほとんどの場合が複数種類同時に摂取します。
そのため、いくら厚生労働省によって安全が認められているといっても、体にとって全く影響がないとはいえません。
そして、そもそも食品添加物は体にとって必須の栄養素ではないため、摂取する必要はありません。つまり、食品添加物は体にとって不必要な物質だといえます。
食品添加物の他にも、野菜や果物に付着している「残留農薬」や、牛肉、牛乳などに含まれている「ホルモン剤」、魚介類には入っている「水銀」など、私たちは、想像している以上に、有害である可能性がある物質を食事によって摂取しています。
断食を行うことで、こうした有害である可能性がある余計な物質が体内に入ることを防ぐことができます。
 ・体内毒素の排泄(デトックス)
断食には、排便活動が促される効果があります。そして排便は、体内に蓄積されている脂肪や有害物質などを取り除く(デトックス)作用を持っています。
例えば、半日断食では朝食を抜きますが、朝食を摂らないだけでも排泄が促されます。それは、人間の体に備わっている「生体リズム」と呼ばれる機能が関係しています。
生体リズムとは、外部環境とは関係なく体内で刻まれるリズムです。具体的な例を挙げると、人間には「夜寝て朝起きる」という睡眠覚醒リズムが存在しますが、これは生体リズムによって作られているものです。
そのため人間は、真っ暗な部屋で時間がわからないような状況になっても、だいたい「夜になったら眠り、朝になったら起きる」というリズムで活動します。
そうした生体リズムによって、午前中は尿を排泄する腎臓や便を排出する腸の活動が活発となります。つまり、午前中は排泄器官が働く時間だといえます。起床時に尿意や便意をもよおす人が多いのは、生体リズムによる影響です。
そして、このように体が排泄モードである午前中に食事を摂ってしまうと、体は食べ物の消化や吸収も同時に行わなければいけなくなります。
そうなると、胃やすい臓といった消化器官の活動にエネルギーが使われてしまうため、本来働くべきである排泄器官である腎臓や腸の活動が弱まってしまいます。その結果、尿や便の排泄が上手くいかなくなり、便秘などの不調が引き起こされるのです。
逆に、断食によって午前中に食べ物を摂らずにいると、腸が活発に活動して排便がスムーズに起こります。
また、断食によって一定期間食べ物を食べないでいると、断食後に食事をした際に、腸が通常以上に刺激されることになります。そうした刺激は、腸で起こる便意を起こす反射を誘発し、排便を促すことにつながります。
このように断食には、排便が促される(デトックス)という効果があります。
ちなみに、排便によるデトックスでは、先ほど述べたような食品添加物や水銀、農薬といった物質が排泄されることも期待できます。
 ・精神的なゆとりが生まれる
断食を行うと、今まで食事に充てていた時間が必要なくなります。そのため、その分だけ自由に使える時間が増えます。
例えば、朝食を30分かけて摂っていた人が断食すると、朝に30分間の余裕が生まれます。その結果、バタバタ準備する必要がなくなり、朝の忙しい時間に感じていたストレスが減ります。
特に小さな子どもを持っている親であれば想像できると思いますが、朝から30分間の空き時間ができれば、非常に精神的なゆとりが生まれます。また、朝起きるのが苦手な人にとっても、朝の30分は貴重な時間となるはずです。
さらに、その余った時間を趣味活動に充てることで、よりストレスを軽減させることなります。
このように、断食を行うことには、精神的なゆとりが生まれてストレスを軽減させる効果もあります。

断食によって起こりえるデメリット

断食には、体にとってさまざまなメリットがあります。ただ、その一方で断食を行うことで体に起こりえるデメリットもあります。特に、専門的な人の指導なく自己流で断食を実施すると、体の不調が生じる人が少なくありません。
そこで以下に、断食によって体に起こりえるデメリットについて記します。
 ・エネルギー不足が起こる
断食するということは、食事によるエネルギー摂取量が必然的に少なくなります。体を動かすためには、筋肉や内臓、脳などが活動するためのエネルギーが必要です。そのエネルギーを作り出す主なエネルギー源は、食事から摂取されます。
例えば、「疲れているから甘いものを摂ろう」というのは、よく聞く使われるセリフです。これは、脳の細胞が活動するために「ブドウ糖」と呼ばれるエネルギー源が必要であることが根拠として使われている言葉です。
脳と同じように、筋肉や内臓が活動するためにも、エネルギー源が欠かせません。
そのため、断食によって食事によるエネルギー源(カロリー)摂取が減ってしまうと、エネルギー不足を起こしてしまう可能性が高くなります。そして、エネルギー不足は体の不調を発症させることにつながるのです。
具体的には、脳にエネルギー不足が生じると頭が働かなくなったり、眠気が起こったりします。また、筋肉のエネルギーが足りなくなると、脱力感や倦怠感などの出現につながります。
当然ながら、専門家から指導を受けて適切な方法で実施すれば、こうしたエネルギー不足といった問題は起こりくいです、ただ、たとえ専門家の下で断食を行っても、こうした不調が生じる可能性はゼロではありません。
このように、断食ではエネルギー不足という問題に注意しなければいけません。
 ・栄養素が不足しがちになる
断食によって食事量が減ると、摂取する総エネルギー(カロリー)量だけでなく、特定の栄養素が不足してしまうこともあります。ただ、ほとんどの場合は、断食が短期間であるため栄養素の不足が問題となることはありません。
しかし、もともと特定の栄養素が不足して何らかの不調が出ている人は、断食によって不調が悪化する可能性があるのです。
例えば、貧血を持っている人が断食を実施して、貧血に関係する「鉄分」や「ビタミンB12」「葉酸」といった栄養素を多く含む食品の摂取が少なくなったとします。そうなると、たとえ短期間であっても、貧血の症状が悪化する可能性は高いです。
このように、もともと特定の栄養素不足による不調を抱えている人は、断食によって症状が強くなることがあります。こうしたことからも、断食は、事前に医師の診断を受けた上で実施することが大切です。
 ・ストレスがたまる
既に述べたように、断食を行うと時間に余裕が生まれます。そして、その時間を上手く活用することができれば、生活にゆとりができてストレスを減らすことになります。ただ、断食を行うことによって食欲が強くなり、逆にストレスが強くなる人も少なくありません。
そして、断食がストレスになると、その反動で断食後にドカ食いをしてしまう可能性が高いです。そうなると、断食を実施した意味がなくなります。
また、断食によるストレスで仕事や日常生活に支障が生じる場合もあります。
そうしたストレスは、体の脂肪蓄積に関わるホルモンのバランスを崩す原因となる可能性があります。そのため、断食に対してあまりにストレスを感じてしまう人は、痩せるどころか、逆に断食によって痩せにくい体質を作ってしまうことになりかねません。
このように、断食によってストレスが強くなる人も少なくありません。そして、断食によって生まれたストレスは、ダイエットを妨げる大きな原因となります。

断食によって効果があるとされている病気

断食は、さまざまな病気を予防したり、改善したりする効果があることが明らかになっています。実際に、断食を指導することで病気の治療を行っている医師も存在します。
そこで以下に、断食によって予防・改善が期待できる病気の例を記します。
 ・アレルギー疾患
アトピー性皮膚炎や花粉症、気管支喘息といったアレルギー疾患は、断食によって予防・改善効果があるといわれている病気の一つです。
こうしたアレルギー疾患の原因は、腸内環境の悪化にあります。腸は、食事から摂取した栄養素を体内(血液中)に取り込む働きを持っています。また腸は、体にとって有害となる物質は吸収しないような「免疫(バリア)機能」も果たしています。
アレルギー疾患は、こうした腸のバリア機能が低下して、有害物質(アレルゲン)が血液中に取り込まれることが原因で起こる病気です
そして、腸内環境が悪化すると、腸のバリア機能は著しく低下してしまい、アレルゲンを体内に取り込むようになります。特に、便秘によって腸内で便が蓄積されると、便から有害物質が作られて、いわゆる「悪玉菌」が腸内で増殖し腸内環境が悪くなります。
その結果、アレルゲンが体内に侵入して、アレルギー疾患が発症するのです。
既に述べたように、断食には排便を促す効果があります。つまり、断食を実施して便秘を予防・解消すれば、「腸内環境が良好となり腸のバリア機能が適切に発揮され、アレルゲンが血液中に取り込まれなくなる」ということです。
こうしたことから、断食にはアレルギー疾患の発症を防ぐ効果が期待できるといえます。
 ・高血圧、動脈硬化
高血圧と動脈硬化(動脈が硬くなる病気)は、多くの人が悩まされている生活習慣病です。そして、これら2つの病気は相互に関係しています。
例えば、高血圧の状態は動脈硬化を進行させる原因になりますし、動脈硬化は血圧を上げる要因になります。ただ、多くの場合は、動脈硬化によって血管が狭くなることがきっかけとなり、高血圧を発症します。
人間の体において、血流不足の影響を最も受けるのは脳(神経)です。実際に、血流全体の20パーセントは脳に送られています。
想像してみるとわかると思いますが、手足を縛って数十分血流が手足へ届かないようにしても、命に別状はありません。また、縛っているのをほどけば、手足の血流はすぐに元通りになります。
それに対して脳は、血流が数分間止まるだけで死に至るか、もしくは脳に何かしらの障害が残ります。
動脈硬化が起こってしまうと、血管が狭くなってしまうために脳へ血流が届きにくくなります。そのため、体は血圧を高くすることで、脳へより血液を送るようにしているのです。つまり、高血圧は動脈硬化による脳への血流不足を補うために起こっている反応といえます。
そして、こうした高血圧の原因となる動脈硬化を引き起こしているのが、食生活の乱れです
具体的には、糖質(炭水化物)の過剰摂取による血糖値(血液中の糖分量を示す値)の変動が、動脈硬化を発症させる一番の原因となります。
血糖値の変動は、血管内の壁を傷つけます。そうなると、傷ついた血管を修復しようとして、傷の部分に脂肪(コレステロール)が集まります。コレステロールには、傷ついた血管壁を覆って治癒させる働きがあります。
つまり、傷ついた血管に対して絆創膏(ばんそうこう)のような役割をしているのがコレステロールです。ただ、傷を修復するために集まったコレステロールは、血管に付着して血管を硬くするだけでなく、血管内を狭くして、動脈硬化を起こします。
こうした理由から、断食によって糖質の摂取が抑えられると、動脈硬化が予防でき、高血圧の発症を防ぐことになります。
 ・糖尿病
糖尿病も断食によって予防・改善が期待できる病気の一つです。
糖尿病は、すい臓から分泌される「インスリン」と呼ばれるホルモンの量が少なくなる、もしくは働きが低下してしまう病気です。インスリンには、血糖値を下げる作用があるため、インスリンの作用が悪くなると、慢性的に血糖値が高くなります。
ただ、血糖値を高くする唯一の栄養素は糖質(炭水化物)であるため、食事から摂取する糖質量を制限すると血糖値は上昇しません。
 
そして、既に述べたように、血糖値が高い状態は動脈硬化を進行させる大きな原因です。
糖尿病の合併症として「糖尿病性網膜症」「糖尿病性腎症」「糖尿病性神経症」の3つは「三大合併症」として有名ですが、これらは全て関連する血管の動脈硬化が原因で発症します。
断食を行うと、まず血糖値を上げる原因である糖質の摂取を断つことになります。そうなると、食事によって血糖値が高くならないため、インスリンが働く必要がなくなります。そのため、糖尿病でインスリンの量が減ったり、働きが悪くなったりしていても問題ありません。
また、断食で糖質を制限すると、血糖値が変動しないので動脈硬化も起こりません。
さらに、断食によってすい臓によるインスリン分泌の必要性が少なくなると、その間すい臓は休憩することになります。その結果、すい臓の働きが活発になり、インスリン分泌不足が解消されます。
このように、断食は糖尿病を予防・解消するための有効な手段です。
ただ、糖尿病でインスリンなどの薬を服用している人が断食を実施する際は、糖尿病に合併して起こる低血糖症に注意しなければいけません。そのため、必ず医師の診断と専門家のアドバイスを受けてから行うことが大切です。
その他にも、断食療法で有名な甲田光雄医師は、以下のような疾患に断食が効果的であったと述べています。
・脳卒中、心臓病
・ウイルス性肝炎
・慢性疲労性
・慢性腎炎
・関節リウマチ
・慢性疲労症候群
・多発性硬化症
・潰瘍性大腸炎
・胃潰瘍、十二指腸潰瘍
・腰痛、肩こり、関節痛
・冷え症
・がん
・認知症

断食とダイエットの関係性

断食は、ダイエット方法として有効であることも明らかになっています。そして、断食を活用したダイエットは、人気が高いダイエット方法の一つです。
そこで以下に、断食とダイエットの関係性について記します。

内臓の働きが活発になる

既に述べたように、断食を行うと内臓への過剰な負担が減るため、結果的に内臓の活動が活発になります。
そうなると、消化・吸収が適切に行われるようになるため、体に十分な栄養が取り入れられて代謝が高まります。また、腸の活動が活発に行われることで便秘が予防・解消できます。
そして、こうした断食によって得られた代謝の高まりや便秘の解消は、体重を減らすことにつながります。
さらに、内臓の活動は、ホルモンバランスをコントロールしている自律神経によって調整されています。そのため、断食によって内臓が活発に動くようになると、自律神経の活動も整います
その結果、脂肪蓄積をコントロールしているホルモンがバランス良く作用して、肥満となることを防ぐのです。
このように、断食によって内臓の働きが活発になることは、結果的に痩せることにつながります。

代謝が高まる

既に述べたように、断食を行うと内臓の活動が高まるため代謝が良くなります。またそれだけではなく、消化酵素の無駄遣いが減ることも、断食が代謝を上げるメカニズムの一つです。
消化酵素の消費が減ると、代謝に利用できる酵素量が必然的に増えます。その結果、代謝が活発に行われるようになり、代謝が高くなります。
このように断食には、代謝を高めて体重が減りやすい体質を作る効果があります。

脂肪燃焼が促される

人が体を動かすときには、筋肉であっても内臓であっても細胞が働くためのエネルギーが必要です。そして、体の細胞でエネルギー源となる主な物質は「糖質」と「脂質」です。人は、これら2つの栄養素からエネルギーを作り出して活動しています。
ただ、多くの人は食事で糖質を摂取しているため、脂質ではなく糖質が主なエネルギー源となっているのが通常です。
しかし、糖質を主なエネルギー源とすると、運動によってカロリーを消費しても食事で摂った糖質がエネルギー源として利用されるため、体に蓄積されている脂肪は燃焼されません。
それに対して断食を行うと、食事から摂取する糖質が減ります。その結果、体は糖質ではなく蓄積された脂肪を分解してエネルギーを作らなければいけなくなるため、自然と脂肪が燃焼されます。
このように、断食によって食事から糖質の摂取量が減ると、体に蓄積されている脂肪がエネルギー源として利用されるようになり、痩せやすくなるのです。

断食の種類

一言で断食といっても、断食にはいくつか種類があります。その中でも、人気が高い断食方法について以下に記します。

酵素ジュース断食ダイエット

酵素ジュース断食ダイエットとは、全ての食事を酵素ジュースに置き換える断食方法です。断食期間は人それぞれ異なりますが、素人が実践する場合には、週末の2日間を酵素断食する「週末断食ダイエット」が勧められています。
既に述べたように、酵素とは体内で起こる反応を円滑化する役割を持つ物質です。
例えば、脂質や糖質からエネルギーを産出するときには、酵素が作用することでスムーズにエネルギーが作られます。また、食べ物を消化するときにも酵素が必要です。そのため、体内の酵素が足りなくなると、エネルギー不足や消化不良・便秘などの不調が出現することになります。
そして、多くの人は体内の酵素が不足しがちです。そこで、足りない酵素を補って内臓や筋肉などの働きを高めながら健康的に断食を行うのが、酵素ジュース断食ダイエットです。
また、週末酵素ジュース断食を実施した場合には、2日~1週間程度は「復食」の期間を設ける必要があります。具体的には、復食中は量は少なめにして、生野菜や果物、発酵食品を中心とした食事にします。
さらに、復食中には、砂糖がたくさん含まれた甘いものや、肉・乳製品、食品添加物の多い食品を避けることが大切です。

1日断食ダイエット

1日断食とは、1週間のうち一日だけ断食をするダイエット方法です。具体的には、朝、昼、晩の3食を抜いて水だけで過ごします。
そして基本的には、1日断食した場合には、約1日かけて復食することになります。
復食には、おかゆや梅干など、消化に負担がかからないような食品を選びます。このときにも、酵素断食と同じように、甘いものや肉・乳製品、食品添加物が多い食品は避けることが大切です。

半日断食ダイエット

半日断食とは、朝食だけを抜く方法です。具体的には、夕食から昼食まで18時間以上水だけで過ごす時間を作ります。
1日断食においてもそうですが、断食を実施する際には、普段食事から摂取している水分を摂らなくなるため、水を多く飲むことが重要です。例えば、半日断食であれば
断食中は500ミリリットル、1日断食であれば1.5~2.0リットル/1日摂取することが推奨されています。
当然ながら、半日断食を行う際には、間食や夜食は禁止です。間食や夜食をしてしまうと、朝を抜いた意味がなくなります。
ただ、半日断食であれば、復食に対して神経質になる必要はありません。朝食を抜くだけの半日断食であれば、昼食は普段どおり摂っても大丈夫です。

結局ダイエットに断食は必要なのか?

ここまで、断食が体に与えるさまざまな影響を解説しました。そこで、最後のまとめとして「結局ダイエットに断食が必要なのか?」ということについて記します。

基本は必要ない

基本的に、私はダイエットを行うために断食は必要ないと考えています
ダイエットの基本は、肥満に関わるホルモンのコントロールです。つまり、ホルモンが適切に分泌できていれば、断食をしなくても適正な体重を維持することはできます。
また、間違った断食方法は、体内のエネルギー不足を引き起こす可能性が高く、ダイエットを断念させる原因になります。さらに、断食によって生じるエネルギーは、強い食欲を生み出します。その結果、反動でドカ食いを行ってしまう可能性もあります。
こうしたことからも、私は基本的にはダイエットに断食は必要ないと考えます。

便秘などの体調不良がある人は有効の可能性が高い

ただ、慢性的に体の不調が続いておりホルモンバランスが崩れているような場合は、断食がダイエットに有効なケースが多いです。
例えば、慢性的な便秘によって腸内環境が悪化していることで、自律神経のバランスが崩れていたとします。そうした場合には、断食によって便秘を解消して体を一度リセットできれば、自律神経のバランスが整うため痩せやすくなります。
また、どうしても付き合いなどで食べ過ぎてしまう傾向にある人は、週末だけ断食を行うと、日ごろ負担をかけている内臓を休憩させることになります。
その結果、内臓の働きが活発になり、痩せやすい体質を作ることにつながります。
このように、慢性的な不調があって痩せにくい体質となっている人は、断食によって体をリセットすることでダイエットが成功する可能性は高まります。

なかなか痩せない人には有効

「正しい食事制限や生活習慣をこころがけてもなやなか痩せない」という原因の一つに「インスリン抵抗性」があります。インスリン抵抗性とは「インスリンの効きにくさ」を表す言葉です。つまり、インスリン抵抗性があると、どれだけインスリンが分泌されても血糖値が下がりにくくなるのです。
通常、糖質を摂取して血糖値が上昇すると、インスリンが分泌されて作用することで血糖値は落ち着きます。
それに対してインスリン抵抗性がある場合には、いくらインスリンが分泌されても血糖値が下がらないのです。その結果、体はどうにかして血糖値を落ち着かせようとして、さらにインスリンを大量に作ることになります。
そうなると、体内でどんどんインスリンがあふれることになり「高インスリン状態」となるのです。
インスリンには、血糖値を下げるだけではなく、脂肪細胞に脂肪を溜め込む作用があります。つまり、インスリン抵抗性によって高イスリン状態になると、太りやすくなるのです。
こうしたインスリン抵抗性を改善するために、有効であるのがファスティングになります。一定期間、全ての食べ物をシャットダウンすることで、インスリン抵抗性が改善されることが明らかになっているのです。
インスリン抵抗性については「なかなか痩せない原因について解説:インスリン抵抗性の解消法」に詳しく書いています。
こうしたことから、なかなか痩せないという人には、ファスティングは効果的だといえます。

体の調子に合わせて実施することが大切

ここまで述べたように、ダイエットに断食を取り入れたほうが良いかどうかは、人によって異なります。例えば、断食によって体重が減るだけでなく体調が良くなるような場合は、断食が有効だといえます。
その一方で、断食を行って痩せたはいいものの、倦怠感や関節痛などの不調や空腹感による強いストレスが生じるような人には、断食は向いていません。
つまり、断食はあなたの体の調子に合わせて実施することが大切です。
私は、基本的にはダイエットを成功させるために断食は必要ないと考えています。ただ、慢性的な不調があって痩せにくい体質である人は、断食を行うことで痩せやすい体質に変化する可能性はあると思います。
このように、ダイエットに断食を取り入れるかどうかは、あなたの体調次第ということです。
今回述べたように、断食にはさまざまな健康効果があります。そしてその中には、当然ながらダイエット効果も含まれています。確かに、慢性的な便秘やインスリン抵抗性などの痩せにくい体質の原因となる不調を抱えている人には、断食ダイエットは有効です。
ただ、そうした問題がない人は、痩せるために断食を実施する必要はないと考えています。
もし断食によるダイエットを検討している場合には、以上のことを考慮して実施してください。また、長期間断食する際には、専門家の下で行うことが大切です。