ダイエット 基本

ダイエットに欠かせないホルモン・自律神経を整える生活習慣とは?

健康的なダイエットを成功させるためには、ホルモンと自律神経を整えることが必要不可欠です。ホルモンと自律神経によってコントロールされている「生体恒常性(ホメオスタシス)」が、体重を調整しているためです。
ホメオスタシスが適切に働いていれば自然と適正体重が維持されるため、太りすぎたり、やせすぎたりすることはありません。
そして、ホルモンと自律神経を整えるためには、ホメオスタシスの働きが最小限で済むような生活を心がけることが重要になります。ホメオスタシスが過剰に必要である生活は、ホルモンと自律神経に大きな負担をかけている状態であるといえるためです。
こうしたことから、健康的なダイエットを成功させるためには、ホルモンと自律神経に負担をかけない生活について理解することが大切です。
そこで今回は「ダイエットに欠かせないホルモン・自律神経を整える生活習慣」について解説します。

ダイエットに欠かせないホルモン・自律神経を整える生活習慣のまとめ

・体重の増減はホメオスタシスによってコントロールされている
・ホメオスタシスはホルモンと自律神経によって調整されている
・健康的なダイエットをするためには、ホルモンと自律神経を整えることが大切
・ホルモンと自律神経を乱さないためには、ホメオスタシスの働きが最小限で済む生活習慣を意識することがポイント
・ホメオスタシスの働きを最小限にするためには、生体リズムと食事、ストレスコントロール、運動を意識することが重要

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ダイエット成功の鍵はホルモン・自律神経にある

健康的なダイエットを成功させるためには、ホルモンと自律神経を適切に働かせることが重要になります。体重の増減をコントロールしているのは、主にホルモンと自律神経であるためです。
おそらく、カロリー計算でダイエットをしている人には、ホルモンと自律神経がダイエットにどのように関係しているかがイメージできないと思います。
ダイエットの王道的な方法というとカロリー制限ですが、カロリー制限によるダイエットは間違えています。体重の増減は、カロリー計算で算出できるほど単純ではありません。
カロリー制限によるダイエット方法が間違えている理由を詳しく知りたい方は「カロリー制限によるダイエットを避けるべき理由」を参考にしてください。
実際に体重の増減をコントロールしているのは、ホルモンと自律神経です。ホルモンと自律神経が食欲や代謝を調整することで体重をコントロールしています。
そこでまずは、ダイエットとホルモン・自律神経の関係性について簡単に説明します。

生体恒常性(ホメオスタシス)とは

ダイエットとホルモン・自律神経の関係性を考えるときに、「生体恒常性(ホメオスタシス)」について理解しておく必要があります。ホメオスタシスとは、簡単にいうと「体内で異常が生じたときに、正常な状態に戻すための仕組み」です。
例えば、食事で炭水化物(糖質)が含まれた食品を食べると、一時的に血糖値(血液中の糖分量)が上がります。
ただ、人間にとって血糖値が高い状態(高血糖)は好ましい状況ではありません。高血糖によって、血管が傷ついたり、硬くなったりする可能性があるためです。そのため、食事によって一時的に血糖値が高くなっても、一定の時間が経過すれば血糖値は元の状態(空腹時血糖)まで下がるようになっています。
このように、異常な状態(高血糖)になったときに、元の状態(空腹時血糖)に戻す仕組みをホメオスタシスといいます。

ダイエットとホメオスタシスの関係性

ホメオスタシスは、血糖値だけでなく、血圧、体温などにも関与しています。また、体重の増減にもこうしたホメオスタシス機能が関係しているのです。
血糖値や血圧、体温などには、いわゆる「正常値」と呼ばれる基準があることは、みなさんご存知だと思います。例えば、血糖値であれば、空腹時(何も食べていないとき)は80~100mg/dl、血圧であれば最高血圧が140mmHg未満、体温であれば36.5℃前後といった認識をもっているはずです。
ホメオスタシスは、食事や運動、熱発などで一時的に基準値からズレたときに、基準値に戻すように作用します。
実は、体重にもその人の体内で基準が決められているのです。そうした体重の基準値を「セットポイント」といいます。体重も、血糖や血圧、体温などと同じように、一時的に太ったり痩せたりしても、ホメオスタシスによって基準であるセットポイントの値に戻るように調整されているのです。
例えば、あなたのセットポイントが45キロに調整されていたとします。当然、結婚式などで食べ過ぎると一時的に体重は増加します。逆に、何日間も食べずにいると体重は減ります。
ただ、こうした体重の変化は一時的なものであり、セットポイントが変わらない限りはすぐに45キロに戻ります。
ダイエットをしている人の中には、毎日の数百グラムの体重変動を気にしている人が多いです。しかし、毎日の体重変動はセットポイントが変わらない限り、必ずセットポイントの体重に戻ります。そのため、日々のわずかな体重変動に一喜一憂するのは意味がないのです
そして、このように一時的な体重の増減をセットポイントという基準値に戻す役割をしているのがホメオスタシスです。ホメオスタシスが代謝や食欲を調整して、体重をコントロールしています。
具体的には、体重が増えたときには、ホメオスタシスの働きよって代謝が高まったり、食欲が抑えられたりします。逆に体重が減ったときには、代謝の低下と食欲の増進が起こって体重を増やす反応が起こるのです。
先ほど挙げた例でいうと、セットポイントである45キロから体重がズレると、ホメオスタシスによって代謝や食欲が変化することで45キロに調整されます。

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このように、体重はホメオスタシスによってコントロールされているのです。
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ホメオスタシスとホルモン・自律神経の関係性

それでは、ホメオスタシスは何によって調整されているのでしょうか。ホメオスタシスを主にコントロールしているのは、ホルモンと自律神経です。ホルモンと自律神経が相互に働きかけることで、体内の異常を調整しています。
例えば、食べ過ぎてしまい、体重が一時的に増えたとします。セットポイントからズレた状態は、体にとって異常な状況です。
そこで、体内では「レプチン」と呼ばれる、代謝を促進したり、食欲を抑えたりする役割をもつホルモンの分泌を促して、体重を減らすための反応を引き起こします。このとき自律神経においても、代謝を促進する作用をもつ「交感神経」が刺激されて、増えた体重がセットポイントに戻るように働きかけるのです。
血糖値や血圧、体温なども同じように、基準値からズレてしまったときには、ホルモンと自律神経の働きによって調整されます。
このように、体内の異常を感知して調整するホメオスタシスは、主にホルモンと自律神経によってコントロールされているのです。
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ダイエットを成功に導く、自律神経・ホルモンを整える生活習慣とは?

ここまで述べたように、体重の増減はセットポイントを基準としてホルモンや自律神経によってコントロールされています。そのため、ホルモンと自律神経が適切に働いていれば、太りすぎたり、やせすぎたりすることはないのです。
健康的なダイエットとは、「ホルモンや自律神経によって自然と体重がコントロールされる状態を目指すこと」だといえます
つまり、健康的なダイエットを成功させるためには、ホルモンと自律神経を正しく働かせることが欠かせません。
それでは、ホルモンと自律神経の働きを整えてホメオスタシスを適切に機能させるためには、どのようにすればいいのでしょうか。以下に、ダイエットのポイントとなるホルモン・自律神経の働きを正常にするためのポイントについて記します。

ホメオスタシスが働くとホルモン・自律神経へ負担がかかる

ホルモンと自律神経の働きを整えるためのポイントは、一言でいうと「ホメオスタシスの働きが最小限で済む生活習慣」だといえます。ホメオスタシスが働かなければいけない状況は、それだけホルモンと自律神経に負荷がかかっているためです。
ダイエットに限らず、「健康のためにはホメオスタシスが適切に働いていることが大切である」ということは理解できたと思います。そして、ホルモンと自律神経の働きを整えるために必要なことは、「ホメオスタシスに負担をかけないこと」になるのです。
それは、ほとんどの人がホメオスタシスを過剰に働かせる生活を送っているためです
例えば、既に述べたように食事によって血糖値が高くなると、ホメオスタシスが働いて空腹時血糖値まで下がります。このとき、血糖値の上がり方が大きいほど、ホメオスタシスが強く作用しなければいけないのは想像できるはずです。
血糖値が140まで上がってしまったのを80まで戻すのと、100までしか上がっていないのを80まで調整するのでは、明らかに後者の方がホルモン・自律神経に対する負担は小さいです。

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もちろん、ホルモンや自律神経によるホメオスタシス機能も、筋肉と同じように使わなければ衰えます。ただ多くの人は、衰えて問題になるよりも、使いすぎてホルモンと自律神経が疲労して作用しなくなることが問題となるのです。
例えば、血糖値を考えてみても、ほとんどの人は1日に3回は主食である米やパンを食べます。米やパンの主成分は炭水化物(糖質)であるため、食事のたびに血糖値は大きく上がります。つまり、血糖値を調整するために、1日に3回もホルモンと自律神経に大きな負担をかけているのです。
当然、間食としてお菓子やケーキ、アイスなどを食べている人は、ホルモンや自律神経への負担がさらに大きくなっています。
こうしたホメオスタシスが過剰に働かなければいけない生活習慣を繰り返していると、最終的にホルモンや自律神経が疲れてしまい、ホメオスタシスが正常に働かなくなるのです。
そのため、健康的にやせるためには、ホメオスタシスの働きが最小限でホルモンや自律神経に負担をかけない生活習慣を送ることが大切だといえます。

ホメオスタシスの働きが最小限である生活習慣とは?

それでは、ホメオスタシスの働きを最小限にして、ホルモンと自律神経に負担をかけないためには、具体的にどのような生活習慣を意識すればいいのでしょうか。
ここからは、ホルモンと自律神経に負担をかけないための生活習慣について記します。

生体リズムとホルモンの関係

人間の体には「生体リズム」という仕組みが備わっています。生体リズムとは、簡単にいうと「外部環境に関係なく一定のリズムで起こる体内の変化」だといえます。
例えば、人は真っ暗な部屋で時計がない状態でも、おおよそ夜の時間になると眠って朝になると目覚めるといった生活をします。これは、体に「体内時計」と呼ばれるものがあり、その体内時計によって睡眠と覚醒のリズムが作られているためです。
こうした体内時計によって作られるリズムを生体リズムといいます。
生体リズムは、睡眠・覚醒だけでなく、体温や血圧など、体内で起こるほとんどの反応に備わっています。そして、生体リズムをコントロールしているのが、ホルモン・自律神経になるのです。

生体リズムの仕組み

生体リズムの仕組みは、非常に複雑です。ただ、ここではわかりやすいように簡単に説明します。
生体リズムは、主に脳内に存在する体内時計によってコントロールされています。脳の体内時計がリズムを作って筋肉や内臓などの末端の組織に指示することで、生体リズムを作っているのです。
例えば、体内時計には朝に体を興奮させて目覚めさせるというリズムがあります。そのため、朝になると体内時計は心臓に対して、心拍数や血圧を高める指令を出すのです。その結果、心拍数や血圧が上昇して体が興奮し、自然と目覚めるようになります。
逆も同じであり、夜は体をリラックスさせて眠るというリズムを刻みます。これも、体内時計が心臓や筋肉などに指令を出して体を緊張を緩めているのです。
そして、このように体内時計と心臓や筋肉といった末端組織における情報伝達の役割を担っているのがホルモンと自律神経になります。体内時計で作られた指令は、ホルモンと自律神経によって各組織に届けられるのです。

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このように生体リズムは、ホルモンと自律神経が深く関わっています。

生体リズムに沿った生活がホルモン・自律神経への負担を最小限にする

ここまで述べたように、生体リズムは体内時計とホルモン・自律神経、各組織が相互に作用することでコントロールされています。そのため、ホルモンと自律神経が適切に働いていないと、体内時計で作られた指令は各組織に届けられません。
例えば、夜に眠れないといった睡眠障害は、ホルモンと自律神経の働きが悪くなって起こる典型的な問題です。
ホルモンと自律神経が適切に働いていないために、体内時計で作られた「眠気を作り出せ!」という指令が各組織へ伝えられなくなります。その結果、体がリラックスすることができずに眠れなくなるのです。
これは逆も同じことがいえます。つまり、各組織が体内時計に逆らった活動をすると、体内時計が狂ってしまうということです。
例えば、通常であれば夜は心拍数が下がったり、筋肉が緩んだりして体はリラックスします。ただ、夜にジムに通ってハードな運動をすると、心拍数は高くなり、筋肉は緊張します。いってしまえば、体内時計が出している指令とは逆の行動をしているといえます。
そして、こうした心臓や筋肉といった各組織での反応は、ホルモンと自律神経を介して体内時計へ伝えられます。
このとき、体内時計が出している指令と心臓・筋肉などの各組織の反応では大きなギャップが生じていることになります。その結果、体内時計と各組織の間で情報伝達をしているホルモンと自律神経への負担が大きくなるのです
体内時計に従った生活をしていれば、各組織から体内時計に対する情報伝達は最小限で済みます。体内時計が予測した反応が起こっているためです。

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子供を保育園に預けている場面をイメージしてみてください。子供が何も問題なく過ごしていれば、親に対して保育園からかかってくる電話は最小限で済みます。その一方で、子供が熱を出したり、問題行動を起こしたりすると、何度も保育園から親に電話がかかってきます。
当然、電話の使用回数が増えるということは、親(体内時計)はもちろんのこと、電話(ホルモン・自律神経)に対する負担は大きくなります。
体内時計に逆らった生活をすると、子供が問題を起こしたときに電話の使用回数が増えるように、ホルモンや自律神経、体内時計への負担も大きくなってしまうのです。

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つまり、体内時計に逆らった生活は、ホルモンと自律神経を乱すことにつながるといえます
そのため、ホルモンと自律神経に負担をかけないようにするためには、体内時計に従った生活をすることが大切になるのです。

体内時計に従った生活のポイント

それでは、体内時計に従った生活とは、具体的にどのようなものでしょうか。これは難しく考える必要はありません。簡単にいうと「日が沈んだら眠って、日が昇ったら起きれば良い」のです。
既に述べたように、体内時計は外部環境に関係なくリズムを刻んでいます。ただ、基本的に太陽の昇り沈みに合わせてリズムを作っているのです。
例えば、太陽が昇る時間には体を興奮させて目覚めさせる指令を出して、太陽が沈む時間にはリラックスさせて眠らせる指令を送ります。
そのため、体内時計に従った生活とは、大まかにいうと太陽の昇り沈みに合わせた生活だといえます
逆に、「夜にジムで運動して体を興奮させる」「夜中まで起きている」「朝になっても眠っている」といった生活は、体内時計に反した生活になります。つまり、こうした生活はホルモンや自律神経に負担をかけることになるのです。
このように、ホルモンや自律神経に負担をかけない体内時計に従った生活のポイントは、「夜眠り、朝起きる」といった当たり前のことです。こうした当たり前の生活をすることが、ホルモンや自律神経を整えるために重要であることを理解しておいてください。
その他にも、以下のような生活は体内時計に逆らった生活だといえます。
・夜にテレビやスマホ、パソコンなどを使用する
・朝に無理やり運動する
・日中にダラダラ過ごす
・夜遅くに食事を摂る

ダイエットを成功させるホルモン・自律神経に負担をかけない生活のポイント

ここまで述べたように、ホルモンと自律神経に負担をかけないようにするためには、体内時計の指令に従った生活をすることが重要です。ただ、ホルモンと自律神経を乱す要因は、他にもあります。
例えば、食事はホルモンと自律神経に影響を与える大きな要因です。
先ほど述べたように、食事によって血糖値が大きく上昇すると、ホルモンと自律神経に対する負担は大きくなります。また、食べ過ぎると自律神経によって活動がコントロールされている胃腸に負荷がかかるため、自律神経が乱れやすくなります。
つまり、血糖値を大きく変動させるような糖質過多である食事や食べ過ぎは、ホルモンと自律神経に負担をかけるということです。
その他にも、過度なストレスや運動もホルモンと自律神経に大きく影響します。
例えば、精神的なストレスを感じたときには、心拍数や呼吸数が多くなって体が緊張するのは想像できると思います。これは、ホルモンと自律神経が作用した結果として起こっている現象です。
運動も同様であり、ハードな筋トレや激しい運動をしたときには、ホルモンと自律神経の働きによって心拍数や呼吸数が多くなります。
そのため、過度に緊張するようなストレスや、呼吸が乱れるほどの運動も、ホルモンと自律神経を乱す要因だといえます。
このように、ホルモンや自律神経に負担をかけないようにするためには、食事やストレス、運動などに関しても考慮することが重要です。

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今回述べたように、健康的なダイエットを成功させるためには、ホメオスタシスが適切に働いていることが大切になります。そして、ホメオスタシスの機能には、ホルモンと自律神経が深く関わっています。
つまり、健康的なダイエットを成功させるためには、ホルモンと自律神経が整っていることが必要不可欠なのです。
また、ホルモンと自律神経を整えるためには、ホメオスタシスを過剰に働かせない生活習慣を心がけることが重要になります。ホメオスタシスが最小限で済む生活をしていれば、ホルモンと自律神経に対する負担が小さいためです。
そのためには、以上に挙げたような体内時計に従った生活や、ホルモン・自律神経に負担をかけないような食事、ストレスコントロール、運動を意識することが大切です。
このように、トータルに身体を考えた生活を実践して、初めて健康的なダイエットに成功できるようになります。