脂質ダイエットによる体質改善

ダイエットに欠かせない脂質代謝と糖質代謝の違いとは?

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「ダイエットには脂質代謝が大切」ということを聞いたことがありますでしょうか? もし聞いたことがあっても、代謝ってなんだか難しい感じがしますよね。 

 

ただ、ダイエットを成功させるためには、エネルギー(ATP)を作り出す仕組みである代謝を知っておくことは必要不可欠になります。エネルギー不足は不調を招きダイエットを中断させることになります。また、エネルギーを上手く活用することは効率的に痩せることにもつながります。

 

具体的には、「いかに脂肪からエネルギーを作り出すか?」ということがダイエットを成功させるためには重要です。

 

脂肪をメインのエネルギー源として利用できれば、エネルギー不足を防げる上に、脂肪がどんどん燃焼して痩せます。これがいわゆる脂質代謝です。

 

ただ、代謝のメカニズムは複雑であるため、簡単には理解できないのが現状です。

 

あなたはエネルギー産生のメカニズムについてどれほど理解しているでしょうか? 代謝について学ぶことで、正しく効率的なダイエットができるようになります。

 

そこで今回は「脂質と糖質がエネルギーに変換されるまでの過程:ATP産生のメカニズム(代謝)」について、簡単に解説します。

 

エネルギー産生経路のまとめ

 

・人はエネルギー(ATP)がないと生命を維持できない
・エネルギーの産生経路には嫌気的代謝と好気的代謝がある
・エネルギーは糖質、脂質、ケトン体を元に作られる
・ケトン体値が高いことと脂質代謝が良好であることは全くの別物
・好気的代謝は全てのエネルギー産生に関係している
・糖質はビタミンB群がないと嫌気的代謝のみでエネルギーが産生される
・糖質過多な生活をしていると、嫌気的代謝だけに頼るようになる

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エネルギー(ATP)とは

人が生命を維持するためには、エネルギーが必要不可欠になります。脳や心臓、筋肉、内臓といった臓器が活動するためにエネルギーが必要だからです。

 

エネルギーがなければ脳を使って考えることもできませんし、心臓を拍動させて全身に血液を送ることもできません。つまり、エネルギーがないと人間は死んでしまうのです。

 

人間がエネルギーとして利用しているのが「ATP(アデノシン3リン酸)」と呼ばれる物質になります。

 

ATPとは、簡単にいうと「エネルギーを貯めこんでいる物質」だといえます。ATPはその名の通り「アデノシン」に「リン酸(P)」が3つ結合している化合物です。そして、以下のようにATPからリン酸が一つ外れるときに、細胞を活動させるためのエネルギーが生み出されるのです。

 

ATP → ADP(アデノシン2リン酸) + P(リン酸) + エネルギー

 

体内ではこのようにATPというエネルギー通貨を活用することで、エネルギーを貯めこんだり作り出したりして、細胞を活動させているのです。

 

2つのエネルギー産生メカニズム

ここまで述べたように、人間の体はATPというエネルギー通貨を使うことで生命を維持しています。それでは、ATPは体内でどのようにして作られるのでしょうか。

 

人間の体内では、主に「嫌気的代謝」「好気的代謝」と呼ばれる2つのメカニズムによってATPが産出されています。

 

嫌気的代謝(解糖系)

嫌気的代謝とは「解糖系(無気的過程)」とも呼ばれるエネルギー産生過程になります。細胞(ミトコンドリア)の外(細胞基質)で行われるエネルギー産生過程です。簡単にいうと「ブドウ糖1分子から2分子のピルビン酸が作られる過程で2つのATPが作られる(グルコースからであれば3ATP)」という代謝になります。

 

つまり、嫌気的代謝とはブドウ糖を元に2分子のATP(エネルギー)と2つのピルビン酸を生み出す過程です。

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嫌気的代謝の主な特徴は、「細胞(ミトコンドリア)の外(細胞基質)で行われる」「酸素がなくてもエネルギーを生み出せる」という2つになります。

 

嫌気的代謝で生じたピルビン酸は、ビタミンB群(ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、パントテン酸など)が存在していれば、細胞内に入って「アセチルCoA」に変換されます。その一方で、これらの条件が揃っていないときには「乳酸」として体内に蓄積されるのです。

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このように、細胞外(細胞基質)において酸素がない状態で糖からATPを作り出す過程を嫌気的代謝といいます。

 

好気的代謝

嫌気的代謝で産出されたピルビン酸が変換されてできるアセチルCoAは、ミトコンドリア内で「TCA(クエン酸)回路」入り、1ATP作り出します。TCA回路によってATPが産生されるためには、ビタミンB群や鉄、マグネシウムなどが必要です。

 

さらに、TCA回路で生じる「NADH(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)」「FADH(フラビンアデニンジヌクレオチド)」を使って「呼吸鎖(電子伝達系)」でATPが産生されます。呼吸鎖の反応もTCA回路と同じようにミトコンドリア内で起こります。

 

そして、呼吸鎖でATPを作り出すためにはビタミンB群(ビタミンB2、ナイアシン)や鉄、CoQ10、亜鉛、銅、酸素といった栄養素や物質が欠かせません。

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このように、ミトコンドリア内で起こる「TCA回路と呼吸鎖によってATPを作り出す過程」を好気的代謝といいます。ちなみに呼吸鎖では、嫌気的代謝の過程で生み出された物質から、さらに6ATPが産出されます。

 

そのため、好気的代謝では、ブドウ糖1つ(アセチルCoA2つ)から合計「2(クエン酸回路) + 28(呼吸鎖) + 6(呼吸鎖) = 36ATP」が作られることになります。

 

糖質摂取=嫌気的代謝ではない

ここまで述べたように、糖質を摂取した後には嫌気的代謝によって2ATPと2ピルビン酸が作られます。この嫌気的代謝の部分だけを見ると、糖質を摂ってブドウ糖をエネルギー源とする場合には、嫌気的代謝だけが働くように思えるかもしれません。

 

しかし実際には、ブドウ糖を摂った場合でも好気的代謝によるエネルギー産生は行われます。

 

ビタミンB群(ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、パントテン酸など)という条件が揃っていれば、ブドウ糖をエネルギー源とする場合であっても、好気的代謝によってエネルギーが産出されるのです。

 

ブドウ糖から作られたピルビン酸が、ミトコンドリア内に入ってTCA回路と呼吸鎖でエネルギーが作られます。

 

そして好気的代謝がスムーズに起これば、嫌気的代謝で2ATPと好気性代謝で36ATP作られるため、ブドウ糖1つから合計38ATPが産生されることになります。
*正確にいうと32ATPしか産生されませんが、ここでは詳細は省きます

 

つまり、糖質を摂取したからといって、嫌気的代謝だけでエネルギーが作られるわけではないのです。

 

2つのエネルギー源

ここまで述べたように、ATPは主に嫌気的代謝と好気的代謝という2つのメカニズムによって作られます。

 

そして、エネルギー通貨であるATPを作る原料は、主に「糖質」「脂質」の2つです。エネルギー産生について理解するためには、これら2つの栄養素におけるATP産生経路の違いについて理解しておくことが大切になります。

 

糖質

嫌気的代謝のところで述べたように、糖質はATPを作り出す原料となります。

 

具体的には、1つのブドウ糖からは嫌気的代謝で2ATPが作られて、ブドウ糖が分解されて生み出されたピルビン酸が好気的代謝に入ると36ATPが産出されます。つまり、1つのブドウ糖から合計38ATPが作られるのです。

 

嫌気的代謝

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好気的代謝

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このように、代謝に必要な条件(ビタミンB群などの栄養素や酸素など)がすべて揃っていれば、1つのブドウ糖から38ATPが作られます。

 

脂質

脂質(脂肪酸)からもエネルギー通貨であるATPは産出されます。つまり、脂肪酸も糖質と同じようにエネルギー源だといえます。脂肪酸を原料にエネルギーを作り出す過程が、いわゆる「脂質代謝」と呼ばれるものです。

 

ただ、脂肪酸がエネルギーとして利用されるときには、嫌気的代謝は行われません。脂肪酸は「β酸化」と呼ばれる反応によってアセチルCoAに変換されて血液中から細胞(ミトコンドリア)内に入ります。そして、好気的代謝によってATPが作られるのです。
*脂肪酸がミトコンドリア内に入るときに、脂肪酸の種類(長鎖脂肪酸)によっては「カルニチン」と呼ばれる物質が必要になります。

 

例えば、脂肪酸の一種である「パルミチン酸」であれば、以下に記す過程によってATPが産出されます。

 

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もちろん、脂肪酸の種類によって産出されるATPの数は異なります。ただ図を見て分かるように、脂肪酸から作られるATPの数は糖質とは比べ物にならない位多いのです。

 

このように、脂肪はミトコンドリア内で大量のATPを作り出す栄養素だといえます。

 

糖質と脂質はどちらが効率的か?

ここまで述べたように、糖質と脂質では1分子辺りに作り出すことができるATPの数が大きく異なります。糖質よりも脂質の方が、断然効率的にエネルギーを産出することができるのです。

 

また体内に蓄積されている量に関しても、脂質の方が圧倒的に多いです。

 

例えば、何も食べずに体内に蓄積されている栄養素だけで生活したとします。その場合、糖質(グリコーゲン)だけしか使えないと、半日程度でエネルギー不足の状態になります。その一方で脂肪をエネルギー源とすれば、数ヶ月もエネルギー不足を生じることなく生きられるのです。

 

こうしたことから、糖質と脂質では圧倒的に脂質をエネルギー源とした方が効率的だといえます。

 

ケトン体について

糖質制限をしていると、「ケトン体」という物質が体内で作られやすくなります。ケトン体というと、「糖尿病性ケトアシドーシス」と呼ばれる糖尿病の合併症で増える物質として有名です。そのため、「ケトン体は身体にとって危険」というイメージをもっている人は多いです。

 

しかし実際には、ケトン体が体内で増えても問題はありませんし、むしろ身体にとってメリットの方が多いといえます。

 

ケトン体とは

ケトン体とは、脂質やタンパク質をもとに作られるエネルギー源です。具体的には、「アセト酢酸」「アセトン」「β-ヒドロキシ酪酸」という3つ物質を総称してケトン体といいます。この中でもアセト酢酸のみが、細胞のエネルギー源として利用されます。

 

ケトン体は、赤血球と肝臓以外における全身の細胞でエネルギー源として活用されるのです。

 

例えば、一般的に脳が利用できる唯一のエネルギー源は糖分と考えられています。しかし実際には、脳はケトン体をエネルギー源として利用できます。脂肪は脳に入ってエネルギー源として利用できませんが、脂肪から作られたケトン体であれば脳はエネルギーとして活用できるのです。

 

しかも、ケトン体は糖質などと比較して細胞内に取り込まれやすいため、スムーズにエネルギーに変換されます。

 

このように、ケトン体は全身の細胞におけるエネルギー源となる物質だといえます。

 

ケトン体の産生メカニズム

ケトン体は、糖質制限や絶食時などに脂肪酸が肝臓の細胞(ミトコンドリア)内に運ばれて、アセチルCoAに変換された後に産生されます。

 

心臓や筋肉などに脂肪酸が運ばれてアセチルCoAが作られると、TCA回路に入ってATPが産出されます。ただ、糖質制限や絶食といった条件が揃っていると、脂肪酸は肝臓に送られてアセチルCoAに変換されます。

 

糖質制限や絶食、もしくはTCA回路が上手く回らないような状況にあると、肝臓内でアセチルCoA(もしくは脂肪酸)はTCA回路に入らずにケトン体へ変換されて、全身の細胞へ送られるのです。ケトン体は全身の細胞内に到達すると、ミトコンドリア内でTCA回路、呼吸鎖に入ってエネルギーを作り出します。

 

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ちなみに、肝臓自体はケトン体をエネルギー源として利用できません。

 

また、糖質やタンパク質の摂取で分泌されるインスリンはケトン体産生を抑制する一方で、ストレス時などに作られる「アドレナリン」はケトン体合成を促します。

 

こうしたことから、「糖質制限や絶食(ファスティング)などによって糖分・脂肪分から作られるエネルギー量が減る」「運動によって体内に蓄積されているエネルギー源が枯渇する(+アドレナリンが分泌される)」「高脂肪食によって体内に脂肪があふれている」という状況になるとケトン体が合成されるのです。

 

ケトン体が血液中に多く存在すると、心臓や脳、筋肉などの細胞では糖分や脂肪分よりも優先して使われます。また既に述べたように、ケトン体はスムーズに細胞内に入るため、効率的にエネルギーへ変換されるのです。

 

このようにケトン体は、特定の条件下において肝臓で産生されて、全身の細胞でエネルギー源として利用されます。

 

エネルギー産生経路のまとめ

ここで一度、体内でエネルギーが産生されるメカニズムについてまとめます。

 

体内では主にブドウ糖と脂肪酸、ケトン体を元にエネルギー(ATP)を作り出します。それぞれのエネルギー産生経路は以下の図に示す通りです(黄がブドウ糖、青が脂肪酸、緑がケトン体からのATP産生経路になります)。

 

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さらに、ミトコンドリア外で行われるエネルギー産生を嫌気的代謝(紫色の枠内)、ミトコンドリア内におけるエネルギー産生を好気的代謝(赤色の枠内)といいます。

 

図の通り、糖質、脂質、ケトン体の全ての経路において好気的代謝は関係しています。ただ、糖質のエネルギー産生経路においては、ビタミンB群などが不足して「ピルビン酸 → アセチルCoA」という反応が起こらなければ、嫌気的代謝のみでエネルギーが作られるのです。

 

糖質制限を実施する場合には、こうしたエネルギー産生経路の違いを理解しておくことが必須になります。

 

ケトン体高値でも脂質代謝が高いとはいえない理由

糖質制限をしている人の中には、「ケトン体値が高い = 脂肪の燃焼が上手くいっている(脂質代謝が良好)」と考えている人もいます。しかし実際には、ケトン体値が高いことと脂肪の燃焼が良いことは別です。

 

例えば、以下に記す図のように、TCA回路が上手く回らないときでもケトン体値は高くなります。

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このような状態では、確かにケトン体値は高くなりますが、ミトコンドリア内でのエネルギー産生経路(TCA回路、呼吸鎖)で上手くエネルギーが作られません。そして当然ながら、脂肪からもエネルギーが合成されないので脂肪も燃えません。

 

つまり、ケトン体高値であるにも関わらず、脂質の代謝が悪い状況だといえます

 

こうなると体は、エネルギー不足になって不調が生じたり、エネルギー不足を防ぐために筋肉(タンパク質)を分解してエネルギーを作り出したりします。
*このような状態ではLowT3症候群に陥る可能性があります。LowT3症候群については「LowT3症候群とは?LowT3症候群の原因から症状、対処法まで全て解説

 

そのため、栄養不足などでミトコンドリア内の代謝が悪い状況でケトン体値が高くなっても意味がないといえます。むしろ、痩せるどころか不調が現れたり、筋肉が痩せたりといったように、体にとって良くないことばかりが起こってしまうのです。

 

ケトン体値を測定している人は、以上のように「ケトン体高値」と「脂肪の燃焼」は全く別物だということを理解しておきましょう。

 

好気性代謝に必要な栄養素

ここまで述べたように、どれだけケトン体値が高くてもミトコンドリア内における代謝に必要な栄養素が不足していると、脂肪は燃焼されません。

 

以下に、それぞれの代謝経路で必要になる栄養素についてまとめます。

ピルビン酸(ブドウ糖)→アセチルCoA TCA回路 呼吸鎖
ビタミンB群 ビタミンB群、マグネシウム、鉄 鉄、銅、亜鉛、酸素、ビタミンB群NADH、FADH

以上の栄養素が不足すると、それぞれの代謝回路は上手く働かなくなります。

 

糖質摂取でエネルギー不足になりやすい理由

糖質ばかりを摂っていると、エネルギー不足になりやすくなります。簡単にいうと、疲れやすくなるのです。

 

既に述べたように、エネルギーを作り出す効率は圧倒的に脂肪の方が高いです。そして、糖質を摂っていると脂肪はエネルギー源として利用されなくなります。

 

ただ、糖質を摂取していても「ピルビン酸 → アセチルCoA」への変換がスムーズに行われてミトコンドリア内でもエネルギーが産生されていれば、さほど問題ありません。嫌気的代謝だけでなく好気的代謝によってもエネルギーが作られるためです。

 

しかし、過剰に糖質を摂取する生活をしていると、ミトコンドリア内におけるエネルギー産生経路が上手く回らなくなります。つまり、好気的代謝によってエネルギーが産生されなくなるのです。

 

糖質の過剰摂取は、体内ピルビン酸からアセチルCoAへ変換するときに必要なビタミンB群の不足を招きます。その結果、以下に記す図のように嫌気的代謝でしかエネルギーを作れなくなってしまうのです。

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嫌気的代謝だけでは、1つのブドウ糖から2ATPしか産生されません。当然、これだけのエネルギーでは十分に活動することは不可能です。

 

その結果、体はどうにかして嫌気的代謝によって多くのエネルギーを作り出そうとして、糖質を欲するようになります。糖質を摂取することで、嫌気的代謝をフル稼働してエネルギーを生み出そうとするのです。これが、糖質を過剰に欲しがるようになるメカニズムになります。

 

このように、糖質を過剰に摂取すると好気的代謝によるエネルギー産生が上手く起こらなくなるため、エネルギー不足になります。さらにこうした状態になると、「エネルギー不足を解消しようとして糖質を欲するようになる」ということも理解しておいてください。

 

今回述べたように、体内では主に糖質と脂質、ケトン体をエネルギー源として利用しています。それぞれからエネルギーを産生するメカニズムを把握しておくことで、ダイエット中に摂るべき栄養素や注意すべきことが理解できるようになります。


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