ダイエット 基本

ダイエット(減量)の失敗につながる脂質(油)の摂取方法

ダイエットを行う上で、脂質(油)の摂取を控える人は多くいます。脂質は、糖質やタンパク質などと比較して、1g当たりの摂取カロリーが高いため「摂り過ぎるとカロリーオーバーとなり太る」と考えられています。
しかし実際には、体につく脂肪を調整しているのは、余剰なカロリーではなくホルモンです。そのため、「脂質が多く、カロリーの高い食事をしてたら太る」ということはありません。
また、脂質は脳や神経、ホルモンの構造や機能に欠かせない栄養素だといえます。そのため、脂質不足は脳や神経、ホルモンの働きを悪くし、さまざまな体の不調を招くことにつながります。
ただ、脂質を摂る際には、摂取する脂質の種類を考えなければいけません。脂質の摂り方を誤ると、肥満を招くことになります。
そのため、ダイエット中は、肥満を招くような脂質について知っておく必要があります。そうすることで、ダイエット中に避けるべき脂質について理解することができ、正しい脂質を摂取しながら、ダイエットに成功することができます。
そこで今回は、「ダイエットの失敗につながる脂質の摂取方法」について解説します。

血糖コントロールを乱すトランス脂肪酸

ダイエットを成功させるためには、適切な脂質を摂取することが欠かせません。ただ、まずは体に良い脂質を摂ることよりも、ダイエットや健康を妨げる悪い脂質の摂取を避けることが大切です。
そして、ダイエットや健康に悪い脂質の代表的なものとして「トランス脂肪酸」が挙げられます。トランス脂肪酸とは、人工的に作り出した脂肪になります。
例えば、通常であれば、動物性脂質は常温では固定であり、植物性油は液体です。しかし、マーガリンは植物性油であるにも関わらず常温で固体の状態です。これは、人工的に脂肪の構造を変えることで、無理やり作り出したものです。
このように、自然の形をした脂肪を人工的に不自然な形に変えた脂肪酸をトランス脂肪酸といいます
人間の体では、こうした不自然な形をしたトランス脂肪酸をエネルギー源や体の材料として利用することができません。通常であれば、脂質は脳や神経、細胞、ホルモンといった、体にとって非常に大切な器官を作る原料となります
また、体に蓄積される脂肪はホルモンによってコントロールされています。
具体的には、ホルモンの作用によって血糖値をコントロールすることで体への脂肪蓄積は調整されています。そのため、適切な体重コントロールを行うためには、ホルモンが正常に働くことが欠かせません。
そして、そうした血糖値をコントロールしているホルモンは脂質が原料となって作られています。
そのため、ホルモンの原料となることができないトランス脂肪酸を食事から多く摂取していると、ホルモンの合成が不足してしまいます。その結果、血糖値のコントロールが乱れて体に脂肪が蓄積されやすくなります。
またホルモンは、特定の細胞に結合することで機能を発揮します。そして、細胞の周りを覆っているホルモンが付着する部分(細胞膜)は、脂質によって作られます。
トランス脂肪酸を過剰に摂取すると、そうした細胞膜の形成にも異常が起こり、例えホルモン量が十分にあっても上手く働かなくなります。
このようにトランス脂肪酸は、ダイエットに欠かせないホルモンの合成を妨げるだけでなく、ホルモンの効きも悪くするといった点で、ダイエットや健康に悪影響を与えます。
ちなみにトランス脂肪酸は、体にとって利用することができない脂質であるため、内臓脂肪として蓄積します。こうした点でも、ダイエットを行う際にはトランス脂肪酸の摂取を避けるべきだといえます。

炎症を引き起こすオメガ6系脂肪酸

脂質には、構造上の違いから大きく「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」の2つに分類されます。簡単にいうと、飽和脂肪酸は動物性脂質、不飽和脂肪酸は植物性油に多く含まれている脂肪酸です。
また不飽和脂肪酸は、「オメガ3系脂肪酸」と「オメガ6系脂肪酸」に分けられます。
そして、このオメガ3系脂肪酸とオメガ6系脂肪酸のバランスが、体の脂肪蓄積に大きく関係しています
オメガ3系脂肪酸は、魚油や亜麻仁油、エゴマ油などに多く含まれるものであり、「炎症」を抑制する作用があります。一方でオメガ6系脂肪酸は、一般的に使われているサラダ油にたくさん入っており、炎症を強める働きがあります
多くの人は、サラダ油を常用している上に、オメガ3系脂肪酸を多く含む食品を食べる習慣がありません。そのため、オメガ6系脂肪酸を過剰摂取している状態となっています。
その結果、オメガ6系脂肪酸の働きが強くなってしまい、体に炎症が起こりやすくなっています。炎症は体にとって必要不可欠なものですが、あまりに強くなったり、慢性化したりすると、体にさまざまな問題を引き起こします。
例えば、がんや老化、動脈硬化などは、炎症が慢性化した結果起こる病気だといわれています。
そして、慢性化した炎症は、脂肪の蓄積をコントロールするホルモンの働きを妨げることが明らかになっています。その結果、体には脂肪がどんどん蓄積されることになります。
そうしたことを避けるためにも、ダイエット中にはオメガ6系脂肪酸を多く含む食品を避けるべきだといえます。
今回述べたように、ダイエットを成功させるために脂質は欠かせないものです。しかし、「トランス脂肪酸」と「オメガ6系脂肪酸」は、脂肪の蓄積をコントロールするホルモンの合成や働きを妨げることになります。
そのため、ダイエット中には、こうしたトランス脂肪酸とオメガ6系脂肪酸の摂取は控えるべきだといえます。